恋愛感情が芽生えたら、夫婦関係を解消したい──。
2024年5月30日に単行本1巻が発売された人気Webtoon作品(※1)『ビジネス婚―好きになったら離婚します―』は、ワケあり結婚をしたふたりの日常を描く甘さをたっぷりと含んだラブストーリーです。
※1 Webtoon…スマートフォンでの閲覧に特化した、縦スクロールのフルカラーコミックのこと。
そんな本作ですが、単行本化に先駆けて4月22日に実写ドラマ化の決定が発表され、翌月から放送開始♪
毎週視聴者の皆さんをドキドキさせています♡
そこで今回は本作の魅力を深掘りするために、作画を担当されたキラト瑠香先生(漫画家)と企画&編集を担当した並木香菜子さん(JAMTOON STUDIO編集部『ビジネス婚』担当編集者)にインタビューを実施!
原作制作裏話やドラマの感想などをたくさん語っていただきました★
あらすじ
ある日、高層マンション「ピエレットシリーズ」の営業担当を任された佐山雅(さやま みやび)のもとにフリーレント契約の話が舞い込んできました。
その契約は結婚前提のカップルを対象としており、一緒に入居してそこでの生活をSNSに投稿しながらピエレットをPRすれば家賃が半年間無料になるとのこと。
付き合って6年を迎える恋人がいた雅は、彼と憧れの物件で一緒に暮らせると思い前向きに検討します。
ところがこの件を恋人に告げたとき、その場でフラれてしまう事態に!?
さらには数日後、ピエレットの内見案内をしていた最中に、顧客の堂ノ瀬司(どうのせ つかさ)から「俺と一緒に暮らしませんか?」と突然言われて……。
「仕事に生きよう」と決意した雅。
ワケあって恋愛抜きの結婚を望んでいる司。
利害が一致し、即同居することになったふたりは、相手のことを知っていくなかでどんどん“新たな感情”が芽生えていく。
インタビュー
さまざまな“裏設定”が明らかに!?
──まず本作の誕生秘話を伺いたいのですが、編集部が原作を制作していると聞きました。そのこと自体が珍しいですよね。
並木香菜子さん(以下、並木) 確かに珍しいケースで、私も自分がここまで原作を作り込むのは初めてです。ただ元々Webtoonって韓国から生まれた漫画形態なのですが、基本分業制で、原作付きが多いジャンルではあります。ウチの編集部(=JAMTOON STUDIO)が立ち上がったとき、原作者さんや原作そのものを探すところから始まったのですが、それでいろいろな書店さんと打ち合わせをした際に「こういう作品が求められている」ということが分かったので「編集部でも原作を作ろう!」という方向性になりました。
──そんななかで、本作の設定はどのように作られていったのでしょう?
並木 原作を考えるなら自分が興味あるテーマであることが念頭にありました。私自身も働く女性なのですが、「仕事が超好きな人はどういう結婚が理想なのか?」というのを実験的に企画として考えたんです。そして結婚をビジネス的にとらえる「ビジネス婚」だったら新しい結婚の形として、共感得られるのでは?と!
──その後、キラト先生にオファーされたのですね。
キラト瑠香先生(以下、キラト) お話を聞いたとき「並木さんらしいな」と感じました。私は、TLジャンルをメインに描いていたので、女性向けジャンルの恋愛漫画の連載は初めてだったから、すごくワクワクしたのを覚えています。それと私も年代的に興味のあるテーマだからこそ、楽しく描けそうだなと思いました!
並木 かっちりした企画書をキラト先生に見せたのも今回が初めてでしたね。
キラト 文字ばっかりで「こういう作り方なんだ!?」とびっくりしました!
並木 やっぱり編集部の企画書なのでだいぶビジネス寄りで。「ターゲットは〜」とか「作品テーマの狙いは〜」とか、多分漫画家さんが発想しない欄が結構あったと思います(笑)。
キラト 文字しかありませんでした!(笑)
並木 あとは企画の段階から「ビジネス婚」というのが仮タイトルで入っていて。ある程度制作が進んでからもぴったりだと思ったので、結局そのままメインタイトルにしています。
──では、本作のメインキャラクターについても制作裏話をお聞かせください。まずは雅からお願いします。
キラト 雅は“かわいい”よりも“綺麗”というイメージを持っていただけるように調整していきました。実は当初、服にリボンを付けた洋服もあったのですが、かわいさが全面に出てしまいイメージと離れてしまうのでなしになりました。今でもリボンの大きさはこだわっていて、胸元にはあまり大きいものを付けないようにしていますね。あとは服を選ぶ時点で、フリフリ系よりはマーメイドっぽいスカートにしよう!など相談しながら作っていきました。
並木 キャラクターのビジュアルが決まった後、着ている衣装イメージみたいな感じでいくつかパターンを出していきましたよね。そこから「こっちはイメージに合っている!」とか「こっちはかわいすぎる!」等、擦り合わせていきました。
キラト 他には髪などのピンク色もシック寄りにしています。
並木 くすんだピンク色にして大人っぽくしていますよね。
キラト そうですね! あと雅は最初のころに、前髪を作るかどうかも悩みました。
並木 内面については、明るいだけでなく寂しさみたいなものもあってほしくて。やっぱり見た目が華やかで仕事も成功していると、完璧すぎて読者さんが共感できないキャラクターになってしまうのでは?と思ったんです。だから表に出ていない情報なのですが、実家が団地で自分の部屋がないという設定があったりもします。そうすることで自分の居場所を探している感じが心情にでたりするかなと。もしかしたらそういうところも突飛な結婚の動機につながっているのかもしれません。
キラト それから司があまり表情が変わらないので(笑)、雅は表情をコロコロと変えています。
並木 意外と雅ってギャグ顔もやってくれますよね(笑)。
キラト 第5話でワインを注ぐシーンとかでね!
──一方、司はいかがでしょう?
キラト 外見は筋肉の量を特に意識しています。いろいろな男性のイラストと、日本の俳優さんを組み合わせたりしながら考えました。
並木 最初に、筋肉隆々な身体にしてほしいとお話したんですよ。Webtoon作品に出てくる男性ってがたいが良い方が多いから、司も負けてほしくなかったんです!
キラト 司は朝のジムやサウナに行って身体を鍛えているんです。でもスーツのパツパツさはあまり出していない気がしますね。着痩せするという設定にしています。
並木 外見以外の設定ですと、家の決められたルールに従わず、自分の道を自分で作るといった反骨精神があります。そして完璧すぎるから、彼はこれまで真の理解者に出会えていないんです。
キラト 辛い……!
並木 だから「真の理解者に出会う」というのが司の裏テーマとなっています。
キラト 司といえば、今までの人生だと「恥ずかしい」とかの感情はあまりなかったはずなんです。けれども雅と出会ってから出てきたのかなと感じていて。その辺りでは不器用さを出せたら良いなと思いながら描いています。
並木 ふと思い出したのですが、実は司って、かなり初期のころに「最終的には泣かせたい」というのがあったんですよ。
キラト そうでしたね!
並木 完璧なキャラクターという方向で、ある程度ビジュアルが定まってきたので、司のゴールは感情を吐き出すのが良いのかなって。
キラト ぜひ泣かせましょう! 子供のころから泣いていないと思うので!!
──司が泣く姿ってあまり想像できませんよね……。他にも現状明かしていない裏設定はありますか?
キラト 裏設定ですと、実は司は、『花より男子』の道明寺司から名前を拝借しています。ちなみに、司の会社の副代表で幼馴染みでもある光宗紫臣(みつむね しおん)は花沢類ポジションのイメージです(笑)。司の会社のメンバーも『花より男子』のF4を意識しているんですが、ビジネス婚の世界観にあわせて小田島潮(おだじま うしお)という女性のキャラクターもメンバーに入れました。
重要なシーンでの花の色にこだわりアリ
──5月30日に発売された単行本1巻の表紙イラストでこだわったところを教えてください。
キラト ふたりの密着度ですかね。ドラマのほうでこの作品を知っていただいた方は、漫画で本作に触れるのは初めてだと思うので、分かりやすいようにビジネス感を出したり、これから恋愛していく雰囲気を醸し出したりしました。それと雅の指輪は見えるようにしています。
並木 ふたりが結婚しているというのが伝わるようにしていますよね。実は結婚記念写真にしてドレスを着せるのはどうか?みたいな案もあったんですよ。でもまだ入籍レベルにしたかったので普通に記念写真を撮っている感じにしていただきました。
キラト 私、表紙のデザインが「ご祝儀袋」と聞いたとき感動しました!
並木 電子版はかわいいデザインだったので、単行本ではきりっとした寿感を出したかったんです。
──単行本第1巻に収録されているエピソードの中で印象に残っているシーンは?
キラト 第1話で雅が振られるシーン。トイレットペーパーで鼻水をかむことはたまにありますけど、涙を拭くことはなかなかないですよね。ここはトイレットペーパーのゴミをどれくらい描くか悩んだ記憶があります(笑)。多すぎたらトイレに居すぎることになってしまうからどうしようかなと。
並木 そのときの雅はしっかりとした泣き顔を見せていましたよね。嗚咽が出るくらい泣いていましたし。
キラト 本気で泣いているときって、かわいく涙を拭けないと思うんです。だからガバッと拭くイメージで描きましたね。
──そしてその後はケーキをガツガツ食べるシーンもあって(笑)。
キラト その辺りは直前のシーンとの温度差を意識しました。悲しみを怒りに変えるのって大変じゃないですか。それをここでは一気にやっていて。雅の大事なシーンのひとつなのかなと思っています。フォークをグー持ちにしているところにも注目していただきたいです。
並木 私はドラマの脚本打ち合わせにもガッツリと参加させていただいたのですが、ケーキにフォークを刺すシーンはぜひ派手にやってくださいとお願いをしたんです。そしたら実際に派手にしていただけてイメージ通りでした。
キラト あとはその後の雅と司が再会するシーンも印象に強く残っています。司は記憶力がかなり良いと思うから、雅とすれ違ったときのことも覚えていて。けど、今までと違って雅の泣いている表情を見て司の感情が動いたというのは、結構レアだったんじゃないかな?と思いながら描いていました。
──個人的には雅が司とセックスをする覚悟が決まったときの「合図」も印象に強く残っているのですが、小指同士を絡めるという案はどのように生まれたのでしょう?
キラト 最初にシナリオをいただいたときは「合図しようか」というセリフのみだったんですよ。でもセリフだけだと絵的にシンプルになってしまうから、小指を絡めるという設定を私のほうで後から足しました。赤い糸が小指なのもあり、小指を絡ませようと思ったんです。
並木 キラト先生からアイディアをいただいた後、シナリオライターさんにお伝えしたらめちゃくちゃ感激されていて。「すごくいいです……!」とおっしゃっていました。
キラト そうなんですか!? よかったです!
──あと全体を通して、重要なシーンのときには花が散りばめられている印象を受けましたが、どのようにお花を決めていきましたか?
キラト 私は花言葉に詳しくないので花の意味は特に関係ないんですけど、色にはこだわっています。もともと司のイメージカラーが青だったので、司をイケメンな感じで出しているシーンでは青系の花を散りばめています。
キラト ただ他は、感情にあわせて花の色を決めていますね。花束の画像を調べて色のバランスを決めています。
実写ドラマの第3話までを振り返り♪
──2024年6月現在、本作の実写ドラマが放送されていますが、こちらのオファーをいただいたときの感想は……?
キラト 素直に嬉しかったです! もともと企画の段階でドラマ化を目指したいですねって話していたので、それが叶いました!
並木 2023年8月30日から原作漫画の配信が始まって、2024年5月23日には実写版の第1話が放送されたということで、実写ドラマ化が決まるまでかなり早かったですよね!
──雅を演じる菅井友香さんのお芝居をご覧になっていかがでしたか?
キラト 私は菅井さんは「お嬢様」なイメージなので、トイレットペーパーで涙を拭いたり、ケーキにフォークをブッ刺したり、髪の毛を噛んだりとか絶対にこれまでの人生でやったことがなかったと思うんです。でもそれらを今回盛大にやってくださったのが本当にありがたかったです。想像以上の仕上がりになっていました!
並木 菅井さんはラブコメ自体、初挑戦だとおっしゃっていましたよね。
キラト あんなにコロコロと表情が変わるのもすごい! 原作の雅に合わせていただき、もう感謝しかありません!
並木 撮影現場に見学に行ったとき、ちょうどオフィスシーンを撮影されていて。電話対応のシーンを細かく何度も取られていたんですよ。些細なシーンでも疲れを見せずに演じてくださっていて、プロフェッショナルを感じました。
──司を演じる草川拓弥さんのお芝居はいかがでしょう?
キラト やっぱり第1話の入浴シーンが印象的ですね……! 今回の撮影のためにさらに体型を絞ってくださったみたいで。ちゃんと脱ぐ準備をしてくださっていたのがありがたいです。分かりやすく腹筋がバキバキでしたよね! あとは含み笑いの表情がすごく司っぽくて素敵でした。
並木 余裕のある社長感が漂っていました!
キラト あと指輪のアップのシーンで、角度を何度も調整されていたのも印象に残っています。草川さんの手って関節が太くて男らしいんですよ。それが良いなと思いました。
──含み笑いの表情といいますと、第2話で司が「このままだと俺のこと好きになりそうだから」というシーンが最高でした……!
キラト・並木 わかります!!!!
キラト 漫画では顔を写していませんでしたが、ドラマだと雅のほうに顔を向けながら言っていましたよね。確かにあのシーンは素晴らしかったです!
並木 目力がすごくありましたよね。
──他にも実写ドラマのオープニングや第3話でキラト先生のイラストが使用されていたのも印象的でした。
キラト まずオープニング映像を観たときにビックリしました! 終わった後にじわじわ感動しましたね。
並木 漫画の絵をいくつか使うことはもちろん先生にも確認しつつ、事前に完成データも頂戴していたのですが、放送で見た方が楽しいかな~と。特に第1話は先生と一緒に観たので楽しく盛り上がりました! そして第3話で雅がいろいろなお洋服に着替えるシーンは、キラト先生にも加筆修正をしていただいたシーンなので、漫画ファンの方は特に注目して楽しんでいただけると嬉しいです。
キラト 本編中に漫画の絵が映し出されるってなかなかないですよね。参加させていただいちゃいました!
──最後に、読者へメッセージをお願いします!
キラト 原作の第40話以降では、司が雅を好きになっていく過程のモノローグが結構入ってきます。なのでそこが見どころかなと。
並木 とある人物が登場して、雅が振り回されてしまうんですけど、気持ちに変化が生じていきます。
キラト そしてふたりのラブラブ度が増していき、今後はふたりが初旅行をするシーンもあります。ぜひ楽しみにしていただきたいです!
インタビュー当日の思い出(byライター)
キラト先生&並木さんとは『シーツの波間でみる夢みたいな』と『夢から覚めてもそばにいて』のお話を伺ったとき以来、二度目まして♪
原作漫画の制作裏話をたくさん伺い、より本作への理解を深めることができました。
そして実写ドラマについては40分以上感想を語り合うくらい大盛り上がり! 実はインタビュー本文ではかなりカットしています(苦笑)。
私がトキめいたシーンを伝えたときに「わかります!」と共感いただいたことも何度かあって……。インタビューの後半あたりはほぼ雑談になってしまいすみません。でもすごく楽しかったです♪
今回も長時間お話いただきありがとうございました!
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ここでしか手に入らないキラト瑠香先生の直筆イラストミニ色紙が抽選で1名様に当たるプレゼントキャンペーンを実施します。
Qunn公式Xのポストを引用の上、インタビュー記事の感想を書いて投稿してください!
応募期限は2024年7月28日(日)23:59までなので、お忘れなくご参加くださいませ!
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