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『嫁入りのススメ~大正御曹司の強引な求婚~』大正ロマン薫る、身分違いなふたりのまっすぐな恋物語♡

少女漫画レビュー
『嫁入りのススメ〜大正御曹司の強引な求婚(プロポオズ)』表紙画像
引用元:『嫁入りのススメ~大正御曹司の強引な求婚~』
© 福嶋ユッカ / 小学館クリエイティブ

ときは大正。「カフェー」で女給として働くことに生きがいを感じている元お嬢様の蘭子と、子爵の息子であるイケメン大学生・耀一郎の、婚約から始まるラブストーリー『嫁入りのススメ~大正御曹司の強引な求婚~』(福嶋ユッカ)♡ SNSなどで注目を集める話題作です。

ジャンルは時代モノですが、主人公の蘭子は当時の婦人としては少々イレギュラー。結婚適齢期を過ぎていますがカフェーでの仕事を第一に考えており、結婚にはあまり興味がありません。さらに、身分違いの結婚や女給の仕事に対して嫌味を言うマダムたちを笑顔で蹴散らす強さを持っている、背筋の伸びたカッコいい女性です。
思わず応援したくなっちゃいますね♪

どこか透明感のある絵も、物語の世界観にぴったり。西洋と日本の文化が華やかに融合するロマンティックな時代の描写に、引き込まれること間違いありません♪

あらすじ

高級カフェー「カシオペア」で女給の仕事をしている蘭子。働く女性は少しずつ増えてはいるものの、女学校時代に嫁ぎ先が決まるのが当たり前という時代です。両親からの風当たりは強いですが、当の本人にとっては結婚よりも仕事のほうが大事。縁談や客からのアプローチもサラリとかわしてきました。

ある日、いつものようにカフェーで働いていると、無愛想な大学生が蘭子にプレゼントを押し付けて立ち去りました。沸き立つ女給仲間を横目に、まったく興味のない様子の蘭子。さらに家に帰ると、縁談話が来ていることを両親から告げられます。相手は子爵・蝶名橋家の跡取り息子で、なんと祖父同士で孫を結婚させる約束をしていたそう!

さり気なく逃げようとする蘭子でしたが、母は「落ちぶれた花宮家と結婚なんて相手に何の利点もないのにもらってくださるって言うんですから! しかも行き遅れた年増の娘を…! これは絶対に逃がすわけにはいきません!!」と般若の顔圧で静止。これには蘭子も勝てずに、冷や汗をかきつつ「……はい」と返事をします。

次の日曜、蘭子がしぶしぶ顔合わせに相手方へ向かうと、そこにいたのは見覚えのあるイケメン大学生。そう、プレゼントを持ってきた青年、耀一郎だったのです!

ニコリともしない耀一郎の態度に、お互い同意の上で縁談を断われると目論んだ蘭子。ところが耀一郎は「貴方には俺と結婚してもらう」と、やや強引に結婚宣言。そして周囲の人たちに見守られながら、婚約パーティやランデブー(デート)など縁談はどんどん進み、ふたりの間の距離も少しずつ縮まっていくのです♡

登場人物

カフェーで働く花宮蘭子
引用元:『嫁入りのススメ~大正御曹司の強引な求婚~』
© 福嶋ユッカ / 小学館クリエイティブ

花宮蘭子(はなみや らんこ):24歳。高級カフェー「カシオペア」で女給をしている。お嬢様だったが、父親の事業が失敗して家は没落。仕事が好きで結婚には興味がない。

御曹司の蝶名橋耀一郎
引用元:『嫁入りのススメ~大正御曹司の強引な求婚~』
© 福嶋ユッカ / 小学館クリエイティブ

蝶名橋耀一郎(ちょうなばし よういちろう):子爵家の息子で大学生。一見無愛想で強引だが、思ったことを素直に口にする性格。ずっと蘭子と結婚したいと思っていた。

見どころポイント

ステキなふたりの恋愛要素はもちろん、舞台となる大正時代の帝都(首都のこと)のモダニズムも堪能できる本作。モガ・モボ(モダンガール・モダンボーイ)などの流行語が生まれた時代なので、おしゃれに対する意識も高めです♪
さっそく見どころをチェックしましょう!

憧れの大正ロマネスク要素がいっぱい!

物語の舞台となる大正は、日本が近代国家としての道を歩みながら、同時に西洋文化と自国の伝統文化を融合させていった、とっても魅力的な時代♡ 当時生まれた文化や芸術、建築様式などは「大正ロマネスク」と呼ばれ、現代でも多くの人に愛されています。
その要素は物語のあちらこちらに散りばめられていて、レトロ好きの人にはたまりません。

レトロなドレスを着る蘭子
引用元:『嫁入りのススメ~大正御曹司の強引な求婚~』
© 福嶋ユッカ / 小学館クリエイティブ

例えば、パーティで蘭子が着たドレス。これはフリルをふんだんに取り入れた、当時大流行したスタイルです。また、耀一郎とオペラ鑑賞に出かけたときの蘭子の髪型は、両サイドの髪にウェーブを付けて耳を隠す、最先端のおしゃれヘア! 着飾った人たちで賑わう「デパアトメントストーア」も、なんだかウキウキする情景です♪
まるでモノクロ映画のような風景が次々と登場し、何度も見返して楽しめます♡

デパアトメントストーアで買い物する蘭子と耀一郎
引用元:『嫁入りのススメ~大正御曹司の強引な求婚~』
© 福嶋ユッカ / 小学館クリエイティブ

当時、都市部ではカフェーが大流行していたそうです。新しいカフェーが次々とオープンするなか、蘭子たち女給が「カシオペア」の今後を憂う描写が、時代の雰囲気を物語っていますね。
デパアトメントストーアのおしゃれな食堂で一瞬だけ登場するメニューにも、フライエッグスやミンチボール、ポークカツレツなどのレトロな洋食が並んでいて、何だかほっこりします♡

登場人物が魅力的な人たちばかり♡

蘭子と耀一郎は身分違いの婚約者ですが、ふたりを取り巻く人達はそんなことを気にしたりしません。

耀一郎の母・百合子は朗らかで優しいステキな婦人♡ 初対面のときから、蘭子に婚約パーティ用のドレスを片っ端から試着させて、メイドとともにキャッキャッと大はしゃぎ(笑)。またあるときは、幼き日の耀一郎が蘭子に会いに行くのをねだっていたことを、満面の笑みでばらします。
いくつになっても少女のような晴れやかさを失わない女性で、彼女が登場するたびに楽しい気持ちになれます♪

耀一郎の母、百合子
引用元:『嫁入りのススメ~大正御曹司の強引な求婚~』
© 福嶋ユッカ / 小学館クリエイティブ

また、耀一郎の従妹・鈴子も大切な登場人物。プライドが高く気が強いお嬢様ですが、まっすぐで一途な憎めない子なんです♡ 耀一郎に淡い想いを寄せていて、デートを見張るためにほっかむり姿で尾行するなど、真面目なゆえのコメディ要素もかわいい♪

耀一郎と蘭子のデートを尾行する鈴子
引用元:『嫁入りのススメ~大正御曹司の強引な求婚~』
© 福嶋ユッカ / 小学館クリエイティブ

駆け引きのないまっすぐな恋がステキ♡

最初こそ目をそらすなど無愛想に見えた耀一郎でしたが、実は幼いころに蘭子と遊んでおり、以前から想いを寄せていたことを伝えてからは、ふたりの間の空気が変わったようです。

「ずっと…早く結婚したいと思っていたんだ。それだけは覚えていてくれ」
「髪を…下ろしているのもいいなと思っただけだ」
「よく似合ってる」
などなど、ポーカーフェイスはそのままに、耀一郎の口からはストレートに想いを伝える言葉が躊躇なく出てきます♡

蘭子に気持ちを伝える耀一郎
引用元:『嫁入りのススメ~大正御曹司の強引な求婚~』
© 福嶋ユッカ / 小学館クリエイティブ

蘭子が「直球で褒めてくるからちょっと照れるわ」と言うと、「言いたいことは言うべきだろう」と耀一郎。
自分の想いをそのまま伝えられる、駆け引きのない誠実な恋愛……応援したくなりますね!

まとめ

元気なときはもちろん、ちょっと疲れたときにも読めば癒やされる『嫁入りのススメ~大正御曹司の強引な求婚~』。現在5巻まで発売中で、物語は絶賛連載中です♪

1巻の巻末には、初めての顔合わせの日の舞台裏を描いたおまけ漫画「メイドは見た」も収録されています! 耀一郎のクールな佇まいの裏側にこんなストーリーがあったのかと、にんまりしちゃいますよ(笑)。
ぜひお楽しみくださいね♪