「おもしれー女」って単語、ご存知ですか?
俺様系イケメンが、自分になびかないヒロインに興味を持った際に放つ言葉、とされています。
ほかの女性とは反応が違うので面白がられ、恋されるヒロイン……。
「花より男子」の牧野つくしを思い浮かべると理解しやすいかもしれません(実際に道明寺司はつくしに「おもしれー女」とは言っていないのですが)。
転じて、最近はコメディとして面白い女性キャラも「おもしれー女」として認知されています。
今回ご紹介する『乙女ゲーの悪役令嬢なのに王子とエロ展開になるんですが!?』(いなさく)は、まさにふたつの意味で「おもしれー女」のヒロインが大活躍するTL漫画。
ギャグとエロが両立する、稀有な作品なんです。
その魅力をご紹介します!
あらすじ・キャラクター
本作のヒロインは、乙女ゲーム『Magic Melt』の悪役令嬢・ルネ。
前世は乙女ゲー好きのOLで、『Magic Melt』にもハマっていたことから、生まれ変わった自分に死亡エンドか追放エンドしかないことに気づきます。
ルネの許嫁・ジャン王子が本作のヒーロー。『Magic Melt』の攻略キャラで、品行方正・成績優秀、優しくて誰からも愛されている“The 王子様”です。
しかし、それは表の顔。
実はとんでもない腹黒王子で、ルネに執着しています。
このゲームでは、どのキャラを攻略しても高確率で悪役令嬢は死んでしまいます。
でも、ジャン王子とゲームの正ヒロイン・オードリーがくっつくルートは、ほかのルートに比べて追放エンドの確率が高いのです。つまり、生き残れる!
そのルートに望みを託すべく、ルネはジャン王子とオードリーの恋のキューピッドに全力でなろうとするのですが……。
見どころポイント
『乙女ゲーの悪役令嬢なのに王子とエロ展開になるんですが!?』の見どころはズバリ、ルネをめぐって対立するジャン王子とオードリーの三角関係にあります。
「オードリーは女の子なのに、どういうこと?」と思うかもしれません。ここからは、ぜひ注目してほしいポイントをピックアップしてご紹介します。
第一の「おもしれー女」、本作のヒロイン・ルネ!
本作のヒロイン・ルネはふたつの意味で「おもしれー女」の要素を兼ね備えています。
ひとつは、性格も外見も完璧なジャン王子になびかない点。
なびくどころか、生存ルートを目指してジャン王子とオードリーがくっつくことを最優先し、自らふたりのお膳立てに必死!
許嫁として、そして死を回避するためジャンに愛想を振り撒きつつ、追放エンドになった後のこともきちんと考え、伯爵令嬢ながら自ら貿易会社を設立しているルネ。
そんなところが腹黒であるジャン王子の加虐心に火をつけます。
ジャン王子は「いつも私に愛してるって言うとき目が死んでますもんね」「心がこもってない愛してるなんて 私に言うのは貴女だけですから」とルネの本心を見抜きまくり。
そしてオードリーに目もくれず、ルネを必死に籠絡するのです。
まさにイケメンになびかないからこそ逆に恋されてしまう、「おもしれー女」の真骨頂です。
もうひとつ、ルネはギャグ的な意味での「おもしれー女」でもあります。
彼女はおもにジャン王子のせいで大ピンチに陥りがち(笑)。
そしてピンチになるとテンパってしまい、言ってはいけない本音がポロッと出て、それをジャン王子に聞かれてお仕置きタイム……というのが本作のお決まりの流れです。これが本当に面白い!
ルネの希望(だいたいはジャン王子から逃げられる、という希望)が見え始めると、読者はいつその希望が絶望に変わるのか期待してしまいます(笑)。
ギャグキャラとしても天下一品の「おもしれー女」なのです。
第二の「おもしれー女」、乙女ゲーの正ヒロイン・オードリー!
なんとルネだけでは飽き足らず、本作には第二の「おもしれー女」がいます(笑)。
それが乙女ゲーム『Magic Melt』の正ヒロインであり、平民出身なのに特別な力を持つ少女オードリー。
「悪役令嬢もの」の王道展開だと、乙女ゲーの正ヒロインは悪役令嬢以上に悪役っぷりを発揮したり、王子に恋をしてライバルになったりしますよね。
でも本作では、よくある「オードリー→ジャン王子→ルネ」という関係性ではなく、「オードリー→ルネ←ジャン王子」とルネをめぐる三角関係!
そう、オードリーは「性格も外見も完璧なジャン王子になびかない」という「おもしれー女」の条件を満たしているのですが、ルネに恋してしまったため、ジャン王子とバッチバチのライバル関係になるのです。
その思いは深く、王子からルネを守るために薬で男に変化します(笑)。
そして下半身丸出しでルネに迫り、隙あらば抱きつき、男の姿でも女の姿でも関係なくアタック!
いろんな意味で「おもしれー女」なのです。
ギャグばっかり!? でもTLとしても面白い!
ふたりも「おもしれー女」がいて、TL漫画なの? と思うかもしれませんが、TLとしての面白み……つまり男女の性愛もしっかり描かれています。
ルネとジャン王子の関係は、「王子から逃げたいルネ」と「絶対に逃したくない王子」の攻防。
自分のこと以外を考えてほしくなくて、ほかの男性キャラと一緒にいると圧をかけてきて、逃亡を防ぐために追跡魔法をかける。
一見完璧な王子であるジャンが、そうやってルネにだけ執着する様子はTL漫画の王道展開。
さらにルネもなんだかんだジャン王子への恋心が育っている描写もあり、恋愛の過程がしっかりと描かれています。恋愛漫画としても読み応え十分!
ギャグとしても面白く、TL漫画としても面白い。「読めてよかった〜!」と感謝してしまう作品なんです。
まとめ
『乙女ゲーの悪役令嬢なのに王子とエロ展開になるんですが!?』は
- 流行の「悪役令嬢もの」
- ヒロインは「おもしれー女」
- 王子と乙女ゲーの正ヒロインが悪役令嬢を取り合う三角関係
という、面白設定盛りだくさんなTL漫画。
2023年11月現在、単行本は2巻まで発売されています。
「ゲラゲラ笑えると言う意味で面白い漫画」と「萌えるTL漫画」という要素が両立しているすごい作品なので、ぜひチェックしてみてくださいね!
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