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『耽溺ホテル』心も体も相性がバッチリなふたりの間にある障害は……!?

TL漫画レビュー
瑞樹と成美の画像
引用元:『耽溺ホテル』© 弓槻みあ / 青井千寿 / 笠倉出版社

忘れられない好きだった人。

時間が経てば忘れられると思っていたのに、実際は逆なこともしばしば。
時間が経てば経つほどその輪郭は濃くなり、自分の中での存在感が増していきます。

そんなときに再会してしまったら、恋心が再び燃え上がってしまうに決まってる!

でも、ふと考えるのです。

「私たちってどうして別れたんだっけ……?」

その理由はとても重大なもので、再び頭を悩ませることに。

かつての破局理由が大きな障壁となる男女の恋を描くTL漫画、『耽溺ホテル』(漫画:弓槻みあ・原作:青井千寿をご紹介します。

あらすじ

ウェディングプランナーとして軽井沢のホテルで働く主人公・西尾成美(にしお なるみ)

結婚に憧れるアラサーです。

成美の画像
引用元:『耽溺ホテル』© 弓槻みあ / 青井千寿 / 笠倉出版社

しかし、結婚相手がいるかというとそういうわけではなく……。

5年前に別れた元カレ・甲斐瑞樹(かい みずき)のことが忘れられず、未だに夢に見てしまうほど。
海外赴任して会えない存在となってしまったから余計に思い出してしまうのでしょうか……?

そんなある日、その元カレ・瑞樹が成美の暮らす社員寮の隣の部屋に越してきます。

職場に現れた瑞樹の画像
引用元:『耽溺ホテル』© 弓槻みあ / 青井千寿 / 笠倉出版社

それも、なんと成美が勤めているホテルの副支配人として戻ってきたのです。

最初は意識しないように努める成美ですが、やはり一度心から愛した相手の存在感は強い……!

ふたりきりになり、肌を合わせると当時のことが蘇ります。

そして、瑞樹が囁く言葉。

「覚えてる? 俺たちがどんなに体の相性よかったか」

身も心も愛し合っていたふたりがかつてのように燃え上がるのに時間はかかりませんでした。

しかし、そんなふたりの間に立ちはだかるのは「結婚観」という壁――。

そう、結婚したい成美に対し、瑞樹は独身主義者だったのです!

ふたりの恋の行方はいかに……!?

物語のポイント

お互い想い合っていて、身体の相性もぴったりなはずなのに、以前は結婚に至らなかったふたり。

それは価値観の違いによるものでした。

でも好きという気持ちは抑えられません!

惹かれ合いつつも、頭の中に「結婚」の文字がチラつき曖昧な関係を続けるふたり……。

ここからは、本作のポイントをご紹介します。

高スペックの瑞樹

瑞樹と別れたあと、彼氏がいたこともあった成美ですが、瑞樹の存在は常に彼女の中に残っていました。

それはやはり、瑞樹が魅力的な男性だからでしょう。

少し強引なところはありますが、ホテルの副支配人とだけあって、頼れる存在。スーツ姿も素敵です♡

成美が好きだった本格カレーを作ってくれるなど、優しい一面も。

「俺モテるから」と自分でも言っていましたが、堂々とそれを言えてしまうのがまたかっこいい!

恋愛においては女性とスマートに接し、あたふたするようなことはないのだろうな……と想像してしまいますが、相手が成美となると少し話は変わってくるようです。

成美から「誰かにあとをつけられているかもしれない」という内容の電話を受けた際には、職場から駆け付けるような熱い面も!

変質者から成美を守る瑞樹の画像
引用元:『耽溺ホテル』© 弓槻みあ / 青井千寿 / 笠倉出版社

これはきゅんとしてしまいます!

さらに「結婚はしない」と言いながら、成美が他の男性と仲良くしていると、独占欲が全開に。

しっかりとやきもちを焼くあたり、彼が成美のことを想っているのがよく伝わってきます。

そう、彼は独身主義なだけで、基本、成美一筋なんです!

他の女性には目もくれない彼には、好感が持てます♪

相性のいいふたりに立ちはだかる問題はひとつだけ

瑞樹と再会し、体を重ねた成美。
その体のフィット感に、かつて付き合っていたころの気持ちが蘇ります。

会話もテンポが良く、ふたりのやりとりはまるで長年連れ添った夫婦のよう。

成美も「なんで私、こんないい男と別れたんだろ」と思ってしまうほど。

瑞樹からも成美への強い想いが感じられます。

瑞樹の作ったカレーを美味しそうに食べる成美を、口説いている瑞樹の画像
引用元:『耽溺ホテル』© 弓槻みあ / 青井千寿 / 笠倉出版社

心も体も相性がいいふたりが別れた理由はたったひとつ。

結婚したい成美に対し、瑞樹は独身でいたいから……。

成美は先がない関係なら瑞樹と元サヤに戻りたくない、と思っていますが、瑞樹はどうしても成美を手放したくない様子。

「成美の結婚相手が見つかるまでの関係ってことでどう?」と提案します。

それを聞いた成美は「それってセフレってこと!?」と複雑な心境。

お互いの譲れない価値観が、ふたりの関係をこじらせます……。

すれちがう結婚観

ふたりの関係は、どうすればうまくいくのか。

お互いの結婚したい、もしくは独身同士でいたい、という気持ちが一致すれば問題ありません。

どうしてそんなに結婚がしたいのか、逆にどうして独身でいたいのか。

実際、瑞樹は成美に「どうして結婚にこだわるのか」と真正面から質問をぶつけています。

結婚にこだわる理由を成美に聞く瑞樹の画像
引用元:『耽溺ホテル』© 弓槻みあ / 青井千寿 / 笠倉出版社

それに対して成美は「それって理由がいるものなの?」と問い返します。

成美にとって「結婚したい」は「焼肉食べたい」「ケーキを食べたい」というのと同じ、本能的なものだと考えているのです。

そう考えると「結婚願望」って一体なんなのでしょうか?

「家族を作りたい」は確かに本能のような気もしますが、今のご時世、経済的に自立している女性も増えてきていますし、結婚していなくても同棲することは可能……。

読者としても「結婚とは」という問いについて、深く考えさせられることになりそうです。

そうこうしているうちに、成美は街コンで出会った年下の美容師・新木康太郎(あらき こうたろう)といい感じになります。

街コンで成美に自己紹介している康太郎の画像
引用元:『耽溺ホテル』© 弓槻みあ / 青井千寿 / 笠倉出版社

結婚を前提に交際したいと考えている康太郎は、成美にアプローチ!

嬉しいと思いつつも戸惑う成美、そして気が気じゃない瑞樹。

どうすればふたりの関係は丸く収まるのでしょうか……!?

まとめ

再会してすぐ体の関係を持った成美と瑞樹。

お互い好き同士ですが「結婚観のズレ」という大きな問題がいまだ、ふたりの前に立ちはだかっています。

ふたりの未来はいったいどうなるのでしょうか?

2023年11月現在、単行本3巻まで発売されている『耽溺ホテル』、ぜひ読み進めてみてくださいね♪

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