由緒ある財閥の名家に生まれながら“不貞の子”として冷遇される孤独な少女と、分家のエリート青年の激しく狂おしい愛を描いた禁断のオメガバース作品。
大正デモクラシーの風が吹き荒れる世で、今宵も花開く淫欲の血に、どっぷりと魅入られましょう。
はじめに
来ました! 来ましたよ、「オメガバース」!!
今回紹介するのは菫野さとみ先生の『Ω令嬢、情欲の檻 ~大正絢爛オメガバース~』。
さらに描かれるのは、その響きだけで多くの人がウットリしてしまう「大正浪漫(たいしょうロマン)」!
「くぅっ、もう我慢できない!」というみなさんに、さっそくストーリーをご紹介していきます!
『Ω令嬢、情欲の檻 ~大正絢爛オメガバース~』ってどんなお話?
時は大正時代。
男女のほかにα(アルファ)、β(ベータ)、Ω(オメガ)という3種類の性がある世界──頭脳や身体能力・容姿に恵まれたエリートα、ごく一般的な能力と外見で人口の多数を占めるβ、発情期を抱え繁殖のために扱われることが多く社会的地位の低いΩで成り立っている世の中です。
財閥界屈指の名家で、代々優秀なαの血筋を持つ天花寺(てんげいじ)家に生まれた紗代(さよ・23)は、Ωである母とαの父からは生まれるはずのないβとして生まれたことで、不貞の子と疑われ、存在しないものとして扱われていました。
心を病んだ母が幼い紗代を残してこの世から去ったあと、捨てられるかもと怯えていた紗代の前に現れたのは、分家の2つ年下の従弟・瑛司(えいじ)。
彼は初対面の紗代に屈託のない笑顔を向け紗代のことを姉のように慕います。
そのおかげで紗代はしばし天花寺家に留まれることになるのでした。
相変わらず身内から疎まれながら肩身の狭い日々を送る紗代でしたが、12歳で初潮を迎えると後天性のΩだということが判明。
晴れて“本家の娘”として認められた紗代は「利用価値があるから」と、本家に身を置くことを許されます。
出会ってから23歳になった今まで、紗代のそばで彼女のことを支え続けたのは瑛司でした。
いつしか紗代にとって、瑛司は弟的存在を超えた最愛の人に……とはいえ、瑛司への想いを口にすることなど、到底できません。
Ωになったことで、定期的に訪れる発情期──。
そこで現れる瑛司の幻影と激しく身体を交わす夢を見ている間だけが、紗代が本心をさらけ出せる唯一の幸せな時間となっていました。
瑛司にとって良き姉であるよう努力しようとする紗代は、天花寺家のためになることが回りまわって彼のためになることだと知っているため、良い結婚相手に嫁ごうとお見合いをします。
お見合い相手の眞田家の次男・彰剛(あきたか)は、どうやら紗代を気に入った様子で……!?
家柄、そしてΩという性に翻弄される女性の、熱く秘めたる激しい愛の物語が開幕です!
見どころポイント
それでは本作の見どころポイントを見て行きましょう!
ポイント1. 作品に吹き渡るきらびやかな大正浪漫の風
オメガバース×大正時代という異色の組み合わせで多くの人を虜にした本作。
大正時代は1912年~1926年のたった14年という、日本史の中で一番短い時代。
日本の伝統と西洋の文化が入り混じった独特の文化が見られますが、特に顕著にそれが現れているのは建築や家具、服装などです。
本作でも天花寺家の大きな屋敷や、紗代の部屋のドアや窓、そして服装などに注目してみてください!
大正時代の美しさと格式、まさに「大正浪漫」とも言うべきエレガンスが漂っています!
この時代特有の文化が作品に深みを与え、読者である私たちを物語の世界へ一気に引き込んでくれるのです♡
ポイント2. ヒロイン紗代の「エロ⇔ピュア」のギャップ!
ヒロインである紗代は、真面目で控えめ、いたって純真な女性です。
……そう。それは普段の姿のこと。
Ωの特性である「発情期」を迎えるとそれは一変します。
Ωの特質はところかまわず発情する性欲の強さ。
欲望の限り、好きな男──瑛司の身体を、愛を、快楽を、そして精を求めまくります!
絶え間ない淫欲が彼女を支配し、それに抗う理性すらもなくなるのです。
そのギャップ……っ!!
普段は、男性にちょっと手を触れられるだけで身構えてしまうような紗代が、発情中は張り型で自慰にふけり、瑛司の幻影に“おねだり”をしたり、「大好き」という本音を恥じらうことなく連呼したり。
普段の慎ましやかな彼女からは想像もできないエロさです!
「純真な女の子がエロい方が萌える」、という世の男子諸君が多いのも頷けます。
これは萌えます。萌えますとも!!
ポイント3. ミスター完全犯罪!? ヤンデレα・瑛司
本作のヒーローであり、紗代の最愛の想い人、瑛司。
分家の出身ではあるものの、現在の天花寺家唯一の成人した跡取り候補である彼は、イケメンで頭脳明晰なα。
紗代にとっては清廉潔白な優しい弟……を通り越して、もはや神様のような存在です。
その証拠に、発情中に幻想の瑛司が紗代を抱く妄想を見るたび、紗代は心の中で現実の瑛司に「また穢(けが)してしまった」「ごめんなさい」とたびたび謝っています。
ところがどっこい!
αとしての資質は確かにパーフェクトかもしれませんが、随所に見られるヤンデレ気質。
紗代のことが好きすぎて実はかなりヤバそうな面がチラホラ……。
紗代のお見合いはそっと窓から見張り、医者が紗代の手を取ったタイミングで追い返し、紗代に手を出そうものならその相手を真顔でフルボッコに。
明らかに、病んでます!(もちろん褒めてます!!)
しかも何か企んでコトを済ませたあと、きちんと証拠隠滅をしているんだろうなーとうかがわせる場面も……!
詳しくはここでネタバレしませんが、本作を読んでから裏で瑛司が証拠をキレイに消している姿を想像するときっとゾワゾワするはず。
自分から意図してバラさないかぎりは、決してシッポを出さない瑛司には「ミスター完全犯罪」の称号を授けたいです!
紗代の前の瑛司はデレっぱなしですから、紗代は神様バージョンの瑛司しか知りませんし、そもそも「神様フィルター」がかかった紗代の瞳には、その狂気は映りません!
ああ、恋は盲目! 紗代は邪(よこしま)な気持ちを抱く自分を責めてばかりですが、「そんなに自分を責めないで、瑛司の方がむしろ邪だから安心してっ!」と声を大にして励ましてあげたいです!
しかし真実はいつか明るみに出るもの。
やがて、「もしかしてサイコパス!?」と疑うような瑛司を知ることになるのですが、その瞬間はぜひ皆さんの目で確かめて欲しいです!
ヤンデレの溺愛、コワ美しいですよ♡
モーションコミックにもご注目!
実は本作、株式会社秋田書店が展開するコミックレーベル『恋愛LoveMAX』の公式YouTubeチャンネル(恋愛MAXチャンネル)にて、モーションコミックが配信されています♪
1巻以降の内容も配信されているので、気になる方はチェックしてみてくださいね!
ただし性的な表現はカットされているので、ふたりのイチャイチャはぜひ、漫画でご確認ください♡
まとめ
いかがでしたか?
『Ω令嬢、情欲の檻 ~大正絢爛オメガバース~』は2023年11月現在、3巻まで発売中。
1巻の中で物語はすでにミステリー的な要素も交えて怒涛の展開を見せています。いわばこの台風は後の大嵐の前哨戦。
社会、文化、そして政治とさまざまな風潮や思想の変化が押し寄せた時代の波と共に、天花寺家の、そして紗代と瑛司の運命は、更なる激動に飲まれていくことになりそうです!
ぜひ、読んでみてくださいね!
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