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『悪役令嬢後宮物語』悪役顔のヒロインが繰り広げる、後宮での権力闘争&ほのかな恋

少女漫画レビュー
コミカライズ版『悪役令嬢後宮物語』1巻
引用元:『悪役令嬢後宮物語』
©SEIJU NATSUMEGU・RYOFU/Frontier Works Inc.

やることなすこと悪いほうに解釈されてしまう美貌の令嬢が、後宮という女の戦場で奮闘し、幸せを掴むラブコメディ。

それが今回ご紹介する『悪役令嬢後宮物語』(漫画:晴十ナツメグ 原作:涼風 キャラクター原案:鈴ノ助)です。

一本筋の通った悪役顔のヒロイン、後宮での権力闘争、そして思わぬ人物との恋。

カッコいい女性の奮闘が見たい人にぴったりの作品です!

あらすじ

本作のヒロインは悪名高い伯爵家の令嬢ディアナ

物語は、彼女が側室として最高位の“紅薔薇”として華々しく後宮入りを果たすところから始まります。

逆らう人間には容赦せず、その微笑みで男どもを動かし、王国の悪を牛耳る裏社会の帝王──そんな噂がまことしやかに囁かれてしまうような“悪役顔”のせいで、ディアナは誤解されてばかり。

ジューク陛下には嫌われ、後宮の勢力争いに巻き込まれ、誰もディアナ本人を見てくれません。

「外見だけでなく、本当の私を見てくれる人に出会いたい!」

そんな健気な本心を隠しながら、何があってもめげずに己を貫き通す、”悪役顔”令嬢の奮闘が描かれていきます。

登場人物

物語のヒロインであるディアナ・クレスター。
引用元:『悪役令嬢後宮物語』
©SEIJU NATSUMEGU・RYOFU/Frontier Works Inc.

ディアナ・クレスター:クレスター伯爵家の令嬢。冷たくて恐ろしい美貌のため周りから誤解されてしまうが、心優しい少女。後宮の平和のため奮闘する。

エルグランド国王のジューク。最初はディアナにつらくあたる。
引用元:『悪役令嬢後宮物語』
©SEIJU NATSUMEGU・RYOFU/Frontier Works Inc.

ジューク:エルグランド国王。正義感が強く、思い立ったら一直線な性格。初めはディアナの噂や外見から、彼女に冷たく当たっていたが……。

刺客のカイ。ディアナを殺そうとするが……。
引用元:『悪役令嬢後宮物語』
©SEIJU NATSUMEGU・RYOFU/Frontier Works Inc.

カイ:ジュークの側室であるリリアーヌ・ランドローズが、ディアナに向けた刺客。謎が多く、ノリが軽い。ディアナを殺そうとするが、彼女を知っていくうちに……。

見どころポイント

本作は“悪役顔”の令嬢の奮闘記。後宮での女同士の闘争、そして密かに育まれるほのかな恋が見どころです。

その魅力をご紹介していきます。

百花繚乱の後宮で繰り広げられる権力闘争

『悪役令嬢後宮物語』の後宮は、設定がすごく面白いんです!

ジューク陛下の後宮には、50人もの娘たちが側室として迎えられました。

その50人の娘たちは、側室として立場が同じ……ではありません。

後宮には、『紅薔薇の間』『牡丹の間』『睡蓮の間』『鈴蘭の間』『菫の間』という花の名を冠した五つの『間』があります。

50人の側室の中でも家柄の優れた5人の娘にそれぞれ『名付きの間』が与えられ、権力闘争で一歩リード。さらに五つの『間』にも格があり、『紅薔薇の間』は正妃候補と言われています。

我らがヒロイン・ディアナは『紅薔薇の間』を与えられました。

つまりみんなから一目置かれる“紅薔薇様”!

そんなディアナを疎ましく思うのは、“牡丹様”のリリアーヌ・ランドローズ。ディアナのクレスター伯爵家より格上の侯爵家出身で、嫌味を言ったり果ては殺人を依頼したりと邪魔者を排除することに躊躇がありません。

リリアーヌ・ランドローズをディアナがやり込めるシーン。
引用元:『悪役令嬢後宮物語』
©SEIJU NATSUMEGU・RYOFU/Frontier Works Inc.

ディアナが望まないのにもかかわらず、後宮は“紅薔薇派”と“牡丹派”に分かれて派閥争いが行われていきます。

さらにジューク陛下が家格の低い側室シェイラに一目惚れしたからさあ大変。

ディアナはシェイラのためにも、後宮の秩序を保つためにも、牡丹以外の『間』を持つ側室と協力して第三勢力を作ろうとし……。

このように、後宮の勢力争いをまとめ上げようとするカッコいいディアナが描かれていきます!

ディアナのノブレス・オブリージュに惚れる

ノブレス・オブリージュ。

権力や社会的地位には、責任が伴うことを指す言葉です。

ディアナのカッコよさは、まさにノブレス・オブリージュを体現しているところにあります。

後宮の勢力争いはそのまま王国の政治に直結しており、もし戦争になったら民が被害を受けてしまう──。そう考えるからこそディアナは、後宮の派閥の均衡が保たれるよう紅薔薇としての力を使い、目を配り続けています。

後宮の勢力図を作り上げようとするディアナ。
引用元:『悪役令嬢後宮物語』
©SEIJU NATSUMEGU・RYOFU/Frontier Works Inc.

それは17歳の少女には過酷な負担。

でも弱音を吐かず、それどころかその負担を貴族として生まれたからには当然のように背負い込むディアナの心意気に、周囲の人たちも感化されていくのです。

ほのかに育まれる恋

ディアナは一応ジューク陛下の側室です。

でも、彼女自身はジュークに恋はしておらず、それどころかシェイラとジュークの恋を陰ながら応援する始末。

では、女の園である後宮にいるディアナに恋物語は用意されていないのでしょうか?

答えはもちろんNO!!

恋愛漫画をたくさん読んできたQunn読者の方なら、物語序盤から独特の存在感を放つ刺客のカイに気付くはずです。

そう、ディアナとカイのほのかな交流が我々の心をキュンとさせてくれるのです。

ディアナとカイ。
引用元:『悪役令嬢後宮物語』
©SEIJU NATSUMEGU・RYOFU/Frontier Works Inc.

悪人顔のため、やることなすこと悪いほうに誤解をされてきたディアナ。

しかし隠密のカイは外見に惑わされることなくディアナを見つめ、彼女の優しさを見抜きます。

そしてカイは、いつしか自分に無頓着で周囲のことばかり心配するディアナへの思いを募らせていくことに……。

頼れる後宮の紅薔薇様と、彼女を支える隠密の青年。

ふたりの行く末は、間違いなく本作の見どころのひとつです。

エポックメイキングな原作小説

数年前から大流行している悪役令嬢もの。

この『悪役令嬢後宮物語』の原作は、2012年2月に小説家になろうで連載が開始された小説です。10年以上前、まさに“最初期”の悪役令嬢もののひとつ。そう、悪役令嬢作品を語る上で欠かせない、エポックメイキングな作品なんです!

タイトルに「悪役令嬢」というワードこそ入っているものの、まだ悪役令嬢もののフォーマットがなかった頃に始まった物語。今ではお約束とも言える“転生”や“断罪シーン”などの展開はなく、悪役令嬢=“悪役顔”のヒロインという点もユニークなポイントです。

原作小説はアリアンローズから書籍化され、全8巻で堂々完結。

原作小説の『悪役令嬢後宮物語』1巻。
引用元:『悪役令嬢後宮物語』
©RYOFU/Frontier Works Inc.

また今回ご紹介した晴十ナツメグ先生のコミカライズ全2巻のほかに、その続編となるコミカライズ『悪役令嬢後宮物語 ~王国激動編~』も刊行されています。『王国激動編』の漫画は鳥屋先生が担当。こちらも本作の華やかな魅力を存分に引き出した作品に仕上がっています。

まとめ

ヒロインは正妃候補だけど王様はほかの女性に一目惚れしてるし、“悪役令嬢”だけど転生はしてない……けど面白い! という型破りな『悪役令嬢後宮物語』。

女性の活躍、キュンとする恋、激しい戦いなど魅力的な要素がギュッと詰まった本作、ぜひ手に取ってみてくださいね。

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