皆さんの家にぬいぐるみはありますか?
そのぬいぐるみが動いたりしゃべったりできたら……きっとすっごく楽しいですよね!
今回ご紹介する『張り合わずにおとなしく人形を作ることにしました。』(原作:遠野九重 漫画:雨宮皐季 キャラクター原案:みくに紘真)は、人形に命を吹き込むことができる少女の異世界ファンタジー。
「人形魔法」という面白い魔法を駆使し、悪役令嬢としての破滅ルート回避を目指す物語です。
早速その魅力を紹介していきます♪
あらすじ
主人公のアルティリアは9歳のとき、突然前世の記憶を取り戻します。
前世での名前は黒川透子(くろかわ とうこ)。毎日引きこもって人形を縫い続け、乙女ゲームをするだけのニートでした。
そんな透子は乙女ゲーム『ルーンナイトコンチェルト』の世界に、悪役令嬢キャラのアルティリアとして転生します。
このまま原作通りにいけば実家が反逆罪で没落し、アルティリアは最終的に自殺してしまう……。そんな結末を避けるため、“原作から外れる”選択をしようと決意。
乙女ゲーム本来のアルティリアが使いこなせなかった「人形魔法」を極め、明るい未来に進もうと奮闘するのです!
登場人物
アルティリア=ウイスプ:前世の記憶に目覚めた本作の主人公。布と糸でできたモノに命を与える「人形魔法」が使える。ウイスプ公爵令嬢で、愛称はアルティ。
アスクラスア:透子をアルティリアとして異世界に転生させた神。アルティリアを愛してやまない。通称アスア。
エルスタット=ロゼレム:魔法学園の理事長であるロゼレム公爵の息子。アルティリアの幼なじみだが、乙女ゲームでは悪役令嬢だった彼女を殺そうとした。
見どころポイント
「破滅ルートを回避する」という悪役令嬢ものの王道展開ながら、「人形魔法」という主人公の能力、敵だったり味方だったりする神様など、新鮮な設定で楽しませてくれる本作。
ここではその見どころを紹介します!
騎士のぬいぐるみやサボテンタイプの人形が味方! 楽しい「人形魔法」
主人公のアルティリアは、いわゆる“普通の魔法”が使えません。
本作の舞台となる国では、貴族は「唯一特有の能力」より「皆が使える能力」を持つことのほうが重要視されています。個性的な魔法より、画一的な魔法が価値があると考えられているんです。
そんななか、アルティリアは世界で唯一の人形魔法の使い手。貴族社会から煙たがられています。
でも、彼女は人形魔法を極め、明るい未来を切り拓こうと前向き!
それに“布と糸でできたモノに命を与える”という人形魔法、本当にすごいんですよ!
人形たちが話し相手になってくれたり、お茶を淹れてくれたり、身の回りの世話をしてくれたり、とても便利なんです。
中でも注目してほしい人形が、炎の大精霊を宿す人形騎士のヴァルフ。
いつもニコニコしていて、話し方も「〜するぞ!」とかわいいのですが、それだけじゃないんです。
アルティリアは、幼なじみのエルスタットに殺されそうになるという乙女ゲーム上の今後の展開を知っていました。そのためエルスタットを警戒していたのですが、そんなことは誰にも相談できません。
しかしヴァルフに話したところ、彼はアルティリアの心配を理解してくれたのです! 「現実は現実 物語は物語だぞ」と諭したり、「ぼくと人形騎士団でうまくやるから任せてほしいぞ!」と対策してくれたり、かなり頼りになる存在です。
キュートな外見とは裏腹に武闘派なのですが、そのギャップもいい!
ほかにもサボテンタイプの人形、盗み聞きが得意な幽霊タイプの人形など、楽しい仲間揃いなんです。
アルティリアに待ち受ける運命はなかなかハードでシリアスな面もあるのですが、人形たちとのほんわかしたやりとりはかわいいの一言!
癒やされたい方、おすすめです♪
主人公のもうひとつの力「人形魔法・箱庭の女王」
人形やぬいぐるみに命を与える人形魔法は、アルティリア固有の魔法です。
実は、アルティリアと混じり合っている黒川透子にも固有の魔法がありました。それが「人形魔法・箱庭の女王」。他人の意志を奪い、操り人形のようにできる力です。
カ、カッコいい……!
他人を思い通りにできるというあまりにも暴力的な力を持つがゆえ、彼女は安易に行使しないことを自分に課しています。
でも、アルティリアの運命は過酷。
特異な能力のために貴族からは目をつけられ、人形騎士団が魔物の討伐やダンジョン攻略をしてしまうため冒険者からは恨まれ、父親は秘密結社のトップでクーデターを企てており、何より原作通りに進むとアルティリア自身が自死してしまいます。
そんな未来を回避するため、「人形魔法・箱庭の女王」を使ってピンチを切り抜けるのです。
悲劇を嘆くのではなく、「なんとかしないと…!」「明るい未来へ進んでみせよう」と戦う、カッコいいヒロイン・アルティリア。かわいいだけじゃない彼女の活躍も要チェックです。
敵? 味方? 異世界の神・アスクラスア
透子を異世界に転生させた神・アスア。
透子ことアルティリアを溺愛し、何かと力になってくれる心強い存在です。
しかし、アルティリアの敵もまたアスア。
彼女を助けたアスアは、実は2000年後の未来の存在。
アルティリアが生きる時間軸にいる彼は、“試練を司る導きの神”と称して人間を苦難に突き落とし、喘ぎ苦しむ姿に愉悦を覚えるようなヤバい神様なんです。
つまり、未来のアスアは味方で、現在のアスアは敵。
ただ、このなんともややこしい神様にキュンとする読者も多いのではないでしょうか。
現在のアスアは傲慢な性格。神という自意識が強く、人々の運命を弄びます。
未来のアスアは、いつも微笑みを絶やさず余裕のある性格。
そして「我輩は透子を愛している」「世界のすべてを引きかえにしても手に入れたいと望むただ一人の女性だ」と、甘いセリフを臆さず言い放ちます。
傲慢なイケメン神と、溺愛してくるイケメン神。
あなたはどちらがタイプですか?
原作ノベルもチェック
実はこちらの作品、女性向けライト文芸レーベル「アリアンローズ」から原作ノベルが3巻発売されています!
イラストの担当はみくに紘真先生。
気になる方はぜひ、チェックしてみてください♪
まとめ
『張り合わずにおとなしく人形を作ることにしました。』は、過酷な運命に立ち向かう少女の物語。異世界転生もの、悪役令嬢もの、ファンタジーと人気の要素を押さえつつ、独自の魔法設定で新鮮さも楽しむことができます。
また、「悲劇のヒロインなんてお断りだ!」と力強く困難を乗り越えようとする主人公の姿には、読者も勇気をもらえるはず!
現在1巻が発売中。まだまだ追いつきやすい巻数です。ぜひチェックしてみてくださいね!
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