「あなたは何フェチですか?」と聞かれて、すぐに答えられる人は、きっとライトなフェチ。
中には、自分のフェチのせいで心をかき乱されてしまう人もいるのではないでしょうか。
今回はにおいフェチの女性と、ある悩みを抱える男性の物語『ただの恋愛なんかできっこない -こじらせ上司とフェチな部下-』(吹田まふゆ)をご紹介します。
あらすじ
営業部に異動してきた唯野さくら(ゆいの さくら)。
表情が読みにくく、堅いところもあるけれど、真面目な女性社員です。
そんな唯野の上司となるのが桐谷樹(きりたに たつき)。
デキる上司・桐谷の役に立とうと努力をする唯野でしたが、妙に距離を取られてしまいます。
どうしてなのかと思っていた唯野ですが、気付いてしまったのです。
ひょんなことで距離が近くなったときに桐谷のアソコが反応していることに……!
実は過去の経験から、女性を意識してしまうと身体が反応してしまう体質の桐谷。
そのため、女性に対しては常に一定の距離を保って生活をしていました。
そんな桐谷に唯野は「わたしを、女性を克服する練習台にしてください」と提案します。
実はにおいフェチの唯野。
桐谷のにおいがどストライクで、これなら桐谷のコンプレックスも克服できて、自分も桐谷のにおいを嗅げるから、一石二鳥と思ったようです。
最初は断った桐谷でしたが、ふたりで食事に行った後、酔った勢いで体を重ねてしまい……!
唯野は改めて桐谷に提案します。
「仕事でもプライベートでも桐谷さんをサポートさせてください」
さて、ふたりの関係はどうなる⁉
物語のポイント
においフェチの唯野と、女性に近づくわけにはいかない桐谷。
「桐谷のコンプレックス克服」という目的からはじまったふたりの関係は、こじれながらも進んでいきます。
早速、物語のポイントを見て行きましょう!
社会人として危険なコンプレックスを抱える桐谷
不意に女性に近寄られると、身体が反応してしまう桐谷。あまりにしんどすぎる……!
「よくぞ今まで無事に生活してきましたね⁉」と言わずにはいられません。
イケメンで仕事もできる、ハイスペックな彼には、次から次へと女性たちがアプローチをかけてきます。
もちろん女性と付き合ったこともあるようですが、最初はよくてもだんだん女性のほうから拒否されてしまい、傷は深まっていくばかり……。
それならば女性とは距離を置いたほうが自分のためになる、という経緯で、女性を避けはじめました。
しかし、そんな態度さえ「クールでカッコイイ」に置き換えられ、本人の評判自体には影響がない模様。
目を合わせなくても「伏し目がちでカッコイイ♡」となるので、その点は得をしているのかも?
できれば、カウンセリングなどを受けたほうが良いのでしょうが、病院に行って、自分で状況を話すハードルの高さを考えると、シンプルに「しんどそう……」と思ってしまいます。
唯野はそんな桐谷のコンプレックスを解消することができるのでしょうか?
唯野が好きなのは「におい」だけ?
桐谷のサポートをしたいという気持ちはもちろん、彼のにおいを堪能したいという理由もあり、コンプレックス克服の手助けを提案した唯野。
真面目な彼女は、自分が練習台になることだけにはとどまらず、次々と新しい案を繰り出していきます。
桐谷ができるだけ女性に慣れるように、職場で女性と接触する機会を増やしたり、「目を合わせるように練習しましょう」と提案したり……。
しかし桐谷は、「そんなことをして、もしもの状態に陥ったらどうするんだ!」とありがた迷惑な様子。
確かに、唯野以外の女性の前で反応してしまったら大問題! あっという間に噂は広まり、会社にいられなくなってしまいます。
そんな桐谷の気持ちをよそに、唯野自身は桐谷のにおいを満喫……⁉
ここで疑問なのが、唯野は桐谷のにおいだけが好きなのか、という点です。
桐谷は、顔が良くて仕事もできて、さらには大人の色気あふれる上司なんですよ?
本当にそれだけで良いんですか、唯野サン!
もちろん唯野だって、桐谷と体は重ねるし、触られるのは嬉しいんです。
そんな想いがありながらも、モテる桐谷を見ても平気そうな印象。
「一体どういう心情なの?」と俄然興味が湧いてきます!
今後唯野が嫉妬する様子を見られる日は来るのでしょうか?
近づく心と体の距離にキュン♡
これまで隠してきた秘密が唯野によってバレてしまうかもしれないと、ヒヤヒヤしている桐谷。
もちろん唯野がバラすとは思っていませんが、女性と接する機会が増えれば、それだけリスクも増えていきます。
どうにかして唯野を遠ざけようとする桐谷、ですがどれも逆効果。
引いてダメなら……と押してみても、喜んで押される始末。
これで唯野が桐谷に惚れているわけではないというのは、にわかに信じられません。
それだけ彼のにおいが好きだということなのか、それとも惹かれている自覚がないのか……。
桐谷としても、唯野は自分のことを助けたいだけで、自分自身を好きではないということは分かっていますが、一生懸命な姿に次第にほだされていきます。
少しずつ独占欲も生まれはじめてきて……。
お互いに想いが高まっていくのは良いのですが、その分、「上司と部下」である以上に「桐谷のコンプレックスを解消するための関係性」というのが、ふたりにとっての足かせになっていくことでしょう。
今後ふたりの関係性がどう変わっていくのか、注目です!
まとめ
どんなにビジュアルが好きでも、どんなに性格が合っていても、においがダメでうまくいかなかった……というカップルも存在します。
では、何よりもまずにおいが好きなら?
唯野のにおいフェチっぷりはかなり重症ですし、一方の桐谷は特殊体質。
普通の恋愛ができない者同士の関係はこの先どうなるのか……。
もともと社会人として優秀な桐谷。コンプレックスが解消されたら、ビジネスマンとしても無双しそうな予感です。
『ただの恋愛なんかできっこない -こじらせ上司とフェチな部下-』は2023年10月現在、単行本3巻まで発売しています。
ぜひ読んでみてくださいね♪
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