自分を大事にしてくれる人を大切にして、心穏やかに、そして幸せに過ごしたい。
ささやかな願いのようにも思えますが、実現するのはそう簡単ではありません。
もしかしたら、誰かに大事にしてもらおうだなんて、贅沢な願いなのかも……やっぱり自分を大事にできるのは自分だけ!?
今回は、周りに裏切られながらも、強い気持ちで立ち上がり進んでいく少女の奮闘を描いた漫画『裏切られた黒猫は幸せな魔法具ライフを目指したい』(漫画:桜木晶、原作:クレハ、キャラ原案:ヤミーゴ)をご紹介します。
あらすじ
主人公は女子高生のクルミ。
前世は異世界で魔法具の研究に励んでいた魔女で、今もその記憶を持っています。
魔女の生まれ変わりということで、幼少期から「精霊」の存在が見える彼女。
もちろん普通の人には見えないため、両親からは気味悪がられ、愛情を注がれることはありませんでした。
さらに、両親は不仲でケンカを繰り返し、挙句の果てにはダブル不倫!
それでも離婚しないのは、不気味な子ども(クルミ)を引き取りたくないから……。
順風満帆だと思っていた高校生活では、友人に恋人を奪われ、嫌なことばかり続く人生にクルミはうんざりしていました。
帰りたい、あの懐かしい世界に――。
そう強く願った彼女はなんと、「前世から数千年後の異世界」に転移します!
いきなり始まった異世界ライフ! 一体どうなる!?
物語のポイント
前世の異世界での記憶を持った女子高生が、現世からさらに前にいた異世界へ転移……という物語は、珍しいのではないでしょうか?
魔法を使うことができ、現世での生活を知っているクルミは、どのように異世界で生き抜いていくのでしょう!?
以下に、物語のポイントをご紹介します!
クールに見えるクルミ、でも本当は……!?
前世では信頼していた弟子に殺され、現世の家庭環境は最悪、さらに高校生活では友人に恋人を奪われるという、なんとも不幸続きなクルミの人生。
しかし、絶望した様子は見られません。
「ま、しょうがないかぁ」「アホらし」とクールに自分の気持ちを割り切れるのは、きっと前世の記憶があるから。
なにせ、人生二度目、ですからね。
そんなクルミでも、家に帰って迎えてくれる人がいない状況には、さすがに落ち込みます。
嫌なことばかりの現世に嫌気が指し、かつて自分が生きた世界に「帰りたい」と思うのです。
結果、見事願いが叶って転移するわけですが、そこでもクルミには苦難が待っていました。
森の中に飛ばされ、右も左も分からない状況のクルミは、運よく親切なおじいさんとおばあさんに出会い、しばらくの間居候させてもらうことに。
少しでも恩返しがしたいと、彼女は魔女時代に培った魔術を駆使し、魔法具を作って彼らに贈ります。
ライターのように火を起こせる魔法具や、冷蔵庫のような機能を持つ魔法具など、生活に役立つものばかり。
そしてクルミが村を発つ日には、ふたりから選別としてお金をもらいます。
その優しさに涙ぐむシーンもあり、実は彼女が淡泊な女性ではないことがわかります。
しかし、その親切心には、裏があったのです!!
詳細は漫画でご確認いただきたいので伏せますが、陥れられそうになったクルミは、村から逃げ出すことに。
前世で作った魔法具・猫の姿になる腕輪を活用し、無事村を離れることに成功します。
元の世界に戻って来ても、裏切りを受けるクルミ。
そして、相変わらず不幸に慣れてしまっているようにも見える彼女の姿には、胸が痛みます。
クルミ、早く幸せになって……!!
クルミが目指す場所
村を脱出したクルミが目指すのは、小さな島国・ヤダカイン。
彼女がそこを目指すのには理由がありました。
前世で魔法具の研究をしていたクルミは、その当時竜族族長だったヴァイトに気に入られ、竜王国(りゅうおうこく)の建国に携わっていました。
ヴァイトが正式に国王になると、魔女であるクルミが国の要職や王妃の座に就くのではないか、と周りから反発の声が一気に増え、居心地が悪くなった彼女は、ほかの魔女たちと迫害も差別もない魔女のための国・ヤダカインを建国します。
……そう、国を作っちゃったのです!
自分が作った国が現在どうなっているのか、気になるのは当然ですよね!
クルミが転移してきたのは、四大大国のひとつである帝国。
ヤダカインに行くためには、帝都の港町から船で竜王国まで行き、さらにそこからまた船に乗らなければなりません。
まずは町で帝都に向かうための旅費を稼ぐところから。彼女はさっそく魔法具の販売を始めます。
行動力のあるクルミ、かっこいいですよね!
彼女がヤダカインに到着する日が、今から楽しみでなりません!
クルミに関わるサブキャラたち
たくましく生きているクルミですが、異世界で、ひとり頑張っていくのは少々大変です。
ここからは、そんな彼女に関わる、個性豊かなサブキャラたちをご紹介します。
まずは、クルミが作り出した使い魔・ナズナ。
まんまる体型で関西弁をしゃべる鳥さんです。
クセが強く、クルミがイメージしていた使い魔とは多少(?)異なるようですが、魔法陣の間違いを指摘してくれたり、ピンチのときには助けてくれたりと、とにかく有能!
そして何より、かわいい♡
クルミをサポートし、読者に癒やしを与えてくれる、この物語に欠かせない存在です。
続いては、時の精霊・リディア。
魔女時代からクルミのことを知っており、クルミの遺産を彼女が管理する「空間」に残しておいてくれた、美しい精霊です。
精霊との相性が悪いクルミのために、空間を開けやすくしておいてくれるなど、今後も力になってくれそう!
そして意味深に登場しているのは、端正な顔立ちの男性・シオン。
彼は精霊から特別好かれる体質の者・愛し子(いとしご)で、どうやら国の中枢を担っていそうな雰囲気……?
登場が少なく、その正体はまだ明かされていませんが、1巻冒頭では魔法具によって黒猫に変身したクルミを助けているシーンがあります。
どのような関係になっていくか、今後要注目です!
最後は、竜族のヴァイト。
先述の通り、竜王国を建国したクルミの前世での知り合いで、喧嘩したり一緒に笑い合ったりと親しい間柄でしたが、彼が生きていたのは数千年前……。
「寿命が長い竜族とは言え、さすがにもう生きてないだろう」とクルミも言っていますが、果たして……!?
これからどのように、クルミを支える存在が増えていくのか、気になるところです。
というより、早く増えてほしいと彼女のためにも願わずにはいられません……!
原作ノベルもチェック!
今回ご紹介した『裏切られた黒猫は幸せな魔法具ライフを目指したい』は、コミカライズ作品です。
ノベル版は2023年12月現在、2巻まで発売されていて、イラストを担当するはヤミーゴ先生。
ぜひこちらも、読んでみてください♪
まとめ
町に出て、資金調達を始めたクルミ。
これからの生活はどうなるのか、無事にヤダカインにたどり着けるのか……まだまだ気になることが満載です!
作品タイトルにもある「黒猫」になれる腕輪が、今後も活躍しそうな予感。
もちろん、彼女が作る魔法具も、アイディア豊かでどんなものが登場するのか、楽しみです!
ワクワクしながらぜひ、読んでみてくださいね!