たいていの場合、誤解は悪い方に解釈してしまうもの。
そしてその解釈を変えることは容易ではありません。
今回ご紹介する漫画は、誤解から始まる恋物語『没落令嬢、貧乏騎士のメイドになります』(漫画:千世トケイ、原作:江本マシメサ)。
さっそく本作の魅力に迫ります♪
あらすじ
田舎領主の五男坊として生まれたベルナール・オルレリアン。
彼の父は子どもたちに意味のある名前を授けてきましたが、5人目ともなるとネタ切れだったのかもしれません。
ベルナールとは「熊のように強い男」という意味で、略して「熊男」。
社交の場に参加しても笑われてしまうような名前に、彼は憤りを感じていました。
さらに五男坊ということで結婚において重視される財産も少ないベルナールは、11歳のときに騎士になることを決意します。
晴れて騎士となったベルナールが王都の宮廷舞踏会で出会ったのは、伯爵令嬢のアニエス・レーヴェルジュ。
「麗しの薔薇」とささやかれ人々の注目を集める美しいアニエスですが、なぜかベルナールには蔑むような視線を向けてきます。
「どうして初対面の相手にあのような目で見られなければならない!?」
屈辱感を味わったベルナールは、二度と彼女に関わるものかと思ったのでした。
そして5年後――。
アニエスの父である宰相、シェラード・レーヴェルジュの政治資金着服が発覚し、レーヴェルジュ家は没落してしまいます。
周りの者が離れていく中、アニエスに助けの手を差し伸べたのは、なんとベルナール!?
ふたりの物語がいま、始まります!
物語のポイント
睨む令嬢、そして反感を持つ騎士……しかしそこには誤解がありました。
わだかまりが解け、少しずつ縮まる関係にムズきゅんすること間違いなし!
ここからは本作のポイントをご紹介します♪
騎士・ベルナールは女性に不慣れ
初対面のアニエスに軽蔑の目を向けられたベルナールは、彼女に良い印象を持っていませんでした。
もともと家柄と財産で人を見る社会にうんざりしていた彼は、アニエスのような貴族の娘と関わる気などなかったのです。
しかしベルナールのもとに、レーヴェルジュ家の没落後行方がわからなくなっていたアニエスが訪ねてきます。
相変わらず「じと…」と睨んでくるアニエスに、「没落してなお俺のことをコケにしに来たのか――!?」と鬱憤が爆発!
頼る人も行く当てもないと言う彼女に仕返しのつもりで「使用人として雇ってやる」と言い放ちます。
生粋の令嬢が下働きなんて受け入れないだろうと思っての意地悪な提案だったのですが、思いのほか「この御恩は一生懸命働いて、必ずお返しいたします」と、涙をこぼし喜ぶアニエス。
そしてそんな彼女の姿に、良心が痛むベルナール……(笑)。
不祥事で没落した家の娘をかくまうということは厄介ごとを抱え込むということ。
「どうしてこんなことに…」と思い悩むベルナールでしたが、「弱き者を助け、礼儀を重んじ、悪を打ちのめす」という騎士の教えを思い出し、みずぼらしい恰好で震えながら訪ねて来たアニエスを雇うことを決意します。
悩みつつも騎士道精神を貫くベルナール……とても男らしいですよね!
そんなこんなでアニエスの使用人生活が始まるわけですが、今まで騎士としての務めに専念してきたベルナールは同年代の女性との接点がほとんどなく、アニエスに心をかき乱されている様子(笑)。
面倒ごとを抱え込んだと思っていたはずなのですが……おやおやおや?
睨みを利かせるアニエスの本性
大貴族の令嬢として生まれ育ったアニエス。
絶世の美少女とうたわれ、社交界では大勢に囲まれる注目の的!
さらには貧乏騎士であるベルナールを初対面で睨みつけるくらいですから、高飛車なヒロインなのでは……?という印象を受けるかもしれませんが、ベルナールの屋敷で働くアニエスからは一切「嫌な感じ」は受けません。
それどころか、元貴族なのに使用人たちにもしっかり頭を下げて挨拶する礼儀正しい子!
一生懸命に働こうとするし、素直で真っすぐ! そしてかわいい!
使用人たちとも良好な関係を築いていきます。
では彼女がベルナールに見せた、あの蔑むような眼差しは一体何だったのでしょうか?
何だか苦しそうにも見えますが……!?
その理由は本編で明かされます!
「睨まれている」と思っていたベルナールの誤解が解け、アニエスのかわいらしい性格が垣間見えるエピソードでもあるので、ぜひチェックしてみてくださいね♪
忍び寄る魔の手……!?
例の眼差しが勘違いだとわかり、アニエスに対するベルナールの態度が軟化。
アニエスもくつろいだ表情を見せることが増えます。
このままふたりの初々しい恋物語に突入……と思いきや、まだまだアニエスは渦中の人!
彼女に対してよからぬことを考える輩もいるんです。
それは第二王子の親衛隊員である、エルネスト・バンテレモン!
侯爵家の次男坊で、無類の女好き。
過去にはアニエスを追いかけ回していたこともあります。
ちなみにそのときアニエスを助けたのが、ベルナールでした。
いくら騎士道精神とはいえ、無意識にスーパーヒーローのように助けてしまうんですから……ベルナール、罪な男ですよね!
さて、一度はベルナールに“追いかけっこ”を邪魔されたエルネストですが、今回彼は行方不明になっているアニエスを見つけて、自分の愛人にしようと企てています。
そしてその捜索願いをベルナールが所属する特殊強襲第三部隊に依頼したのです。報酬および口止め料として金貨をチラつかせながら……。
彼がいけすかない男だということは、もうおわかりでしょう。
一方、依頼された第三部隊のラザール隊長は、騎士の鏡のような人。
ほかの者にアニエスの捜索をさせないために、あえてエルネストの依頼を引き受けます。
罪を犯したのは父親であってアニエスではない……彼女の名誉は守られるべきだというラザール隊長の想いを聞いたベルナールは、アニエスをかくまっていることを彼に打ち明けます。
果たして彼らは、迫りくる魔の手からアニエスを守り抜くことができるのでしょうか!?
ハラハラ展開から、目が離せません!!
まとめ
いかがでしたか?
今後気になるのは、やはりアニエスとベルナールの関係。
お互いに好意を持っているようですが、それを自覚していないところがじれったい(けどキュンキュンする)!
また、捜索願いが出され追われる身のアニエス、そして彼女をかくまっているベルナール……もしこのことがバレたら? 一体どうなるの!?
本作は2024年2月現在、3巻まで発売中! ぜひ読んでみてくださいね♪
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