今回ご紹介する漫画は『関係改善をあきらめて距離をおいたら、塩対応だった婚約者が絡んでくるようになりました』(漫画:最遠エト 原作:雨野六月)。
婚約者の支配的な態度に耐えてきた主人公が、“自分の価値観”を行動の指針にするようになるお話です。
冷たい婚約者へのスカッと展開、優しいイケメンとのウブな恋愛、少女同士の友情など、読んでいて楽しい要素が盛りだくさんな本作。その魅力をお伝えしていきますね♪
あらすじ
公爵令嬢ビアトリス・ウォルトン、通称トリシァは婚約者であるアーネスト王子の冷たい態度に悩んでいました。
「ビアトリスは実家の力で強引に俺の婚約者におさまったんだ」「俺が望んだことじゃない」
そう周囲に言いふらしていたのです。
彼女はこれまでずっと「人気者の王太子に嫌われている、性悪の公爵令嬢」と誤解されることに耐えてきました。8歳で初めて会ったアーネストに一目惚れ、その後婚約して大変な王妃教育をふたりで乗り越えた美しい思い出があったからです。
王子に邪険に扱われ、孤立していったトリシァの心が今にも折れそうだったところ、美貌の辺境伯令息カイン・メリウェザーが「君は何も悪くない」と声をかけてくれました。
それをきっかけに、アーネスト以外の人々とも交流を持つことにしたトリシァ。カインや気の合う友人たちと学園生活を謳歌する彼女に、なぜかアーネストが絡んでくるようになり……。
見どころポイント
本作は主人公のトリシァ、辺境伯令息のカイン、そしてトリシァの婚約者アーネストの関係性が見どころ! 3人の魅力をそれぞれご紹介します♪
完璧な公爵令嬢トリシァ
銀色の髪に菫色の瞳を持つ美しいトリシァ。マナーや所作も完璧で、学業や王妃教育でもたゆまぬ努力をしている公爵令嬢です。
だからと言って相手を見下して高慢な態度をとることもなく、アーネストの意に沿わないことはしないよう控えめに生きていました。
しかし、あるときを境にアーネストが塩対応に。何をしても改善されることはなく、影響力の強い彼の態度のおかげで学園では孤立。トリシァはそんな自分を責めていましたが、カインから優しい言葉をかけられて初めて「自分は悪くない」「アーネストの冷たい態度はアーネスト自身の問題」ということに気づいたのです。
本作は、アーネストの考えや好みを行動基準にしてきたトリシァが、自分の価値観・考えを大切にできるようになるお話とも言えます。
たとえば髪型。昔、アーネストに「飾り立てずにそのまま下ろしているのが1番可愛い」と言われてから、長い髪をずっと下ろして生活していましたが、友人からのアドバイスで結い上げてみることに。
これが気に入り、その髪型で学園にも通い始めます。
それを見たアーネストは憎々しげに睨んできたうえ、「俺はやっぱり下ろしている方が好きだな」と発言。これまでのトリシァならアーネストの好みに合わせて髪型を戻したかもしれませんが、今回は「私はこの髪型が気に入ってる」と自分の価値観を通すことができました。
ほかにも以前なら我慢していたようなことでも、トリシァは自分の考えを伝えるように。アーネストはそんな彼女を責めたり、逆に懐柔しようと優しい態度を取ったりしますが、彼女は怯まずに自分の価値観を大切にし続けます。
トリシァの変化から、他人や世間からの評価に振り回されない、という大切なことを学ぶことができます。
勉強も剣術もできる天才肌! しかも一途な辺境伯令息カイン
カインは孤立していたトリシァが折れそうになったときに「君は何も悪くない」と声をかけ、彼女が自分を見つめ直すきっかけになったキャラクター。
綺麗な赤毛で背が高く、勉強も剣術もできる天才肌の辺境伯令息です。
トリシァはカインから声をかけられるまで彼のことを知りませんでしたが、実はカインはトリシァのことをずっと大切に思っていました。
彼がどこでトリシァを知ったのか、それが明かされるのは2巻です。とても切ないエピソードなので、ぜひチェックしてほしい……!
さて、カインはトリシァに何度も優しい言葉をかけ、励まし、彼女の自己肯定感を回復させていきます。トリシァも彼に悩みを相談し、頼りにするようになるのですが、それが気に入らないのがアーネスト。ふたりが話すあずまやを見に行ったり、「あいつが君を変えたのか?」「この髪型もあいつの好みか?」と言いながらキスを強要しようとしたり、暴走していきます。
実はアーネストとカインには深い因縁があります。お互いを意識せずにはいられず、特にアーネストはカインを敵視しているのです。
そんなカインとトリシァ、カインとアーネストという関係性が本作のキーポイント。
どんな関係なのか、それは読んでからのお楽しみ。単行本でチェックしてみてくださいね♪
憎みきれない婚約者アーネスト
ここまでアーネストの酷いところを書いてきました。
トリシァに冷たい態度をとり、陰口をそれとなく周囲に伝えて扇動し、彼女を孤立させています。また、彼女の見た目や交友関係に口を出すことも。トリシァを自分の所有物だと思っている節があるようです。
ただ、私はアーネストがどうしても嫌いになれない……!
どこか憎みきれない人間味があるんです。
トリシァから語られる子供のころのふたりの思い出はとてもキラキラしていて、彼女が恋してしまうのもわかる“優しい王子様”でした。
母親である王妃に責められるトリシァを助け出したり、わかりやすく嫉妬したり、なんだかんだトリシァを気にしていることも随所から読み取れます。
また、2巻で幼少期に王妃や周囲のせいで彼が歪んでしまったエピソードが出てくるのですが、それを見ると彼だけを責めることはできないと考えさせらました。
ヤキモキさせられるキャラ、アーネストが本作序盤の一番の見どころと言ってもいいかもしれません!
まとめ
7月10日には最新6巻が刊行予定の本作。トリシァとカインの仲も進み、より目が離せない展開になっています!
雨野六月先生による原作のノベル版も5巻まで出版されています。
漫画版もノベル版も、気になったらぜひ手に取ってみてくださいね♪
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