
© 梨川リサ / yokuu / 烏羽雨 / 講談社
えー、ゴホン! 厚生労働省が2024年7月に公表した調査によると、約3割の人が仕事上のストレスの原因を「職場の対人関係」と回答しています。
──って、なになに? いきなり何!? そう思いましたよね? でも思いあたるという人、意外に多くないでしょうか?
ブラック企業、セクハラ、モラハラ、同僚の嫌がらせに噂の流布……。
今回ご紹介する作品は、職場の人間関係にウンザリしていた主人公が自分の足で理想的な職場に巡り合う物語。
yokuu先生による『小説家になろう』発の人気作品が、満を持してのコミカライズ! 梨川リサ先生が物語の世界観そのままに、心温まる素敵な作品として描かれた作品です。
まずはストーリーからご紹介していきましょう!
あらすじ
3年間家政婦として勤務した街一番の名士・二ゼア夫妻の屋敷を、理不尽な理由で辞めさせられたルシル。
一方的に彼女にせまってセクハラを繰り返す二ゼア(夫)との不倫を夫人に疑われ、クビになったのでした。

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思えば同僚にもあまり恵まれていなかったルシルは「穏やかに過ごしたい」と次の職場を求めて列車に乗り、最果ての小さな街、コートデューに降り立ちます。
見つけた宿屋の主人や商工会を営む青年の計らいで、なんとか家政婦の仕事を見つけてもらったルシル。
新しい雇い主は――なんと魔法使い!
その魔法使いのお手伝いはなぜかみな1週間ももたずに辞めていくと聞きます。
しかし住み込みで三食付き、空き時間は自由で給金も良い……そんな好条件を逃すわけにはいきません。
仕事を受けると決めたルシルが訪れた先は、自然あふれる広い敷地に佇む一軒家。

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家の中から現れたのは背の高い白髪の魔法使い・フィリスでした。

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周囲から「先生」と呼ばれる無口で無愛想な彼からの条件はただひとつ。
「余計なことをしないように」
かくしてルシルは彼の家に住み込みで働き始めました。前の職場とは違い、清潔に整えられた部屋を与えられ、お風呂も自由に入ることができる恵まれた環境で働く中で、知らずのうちに心地よさを感じていくルシル。

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あなたの心をゆったりと緩めてくれる、癒やしの異世界ファンタジー、開幕です!
見どころポイント
それでは本作の見どころポイントをご紹介していきましょう!
ポイント1. 割り切りの良い有能な家政婦のヒロイン・ルシル
本作では主人公のルシルを、ただの“癒やし系ヒロイン”ではなく、“能動的に行動する人物”として描かれている点が魅力です。
前職はブラックな環境で働いていた彼女ですが、打ちひしがれ悲観的な気持ちのまま働いていたわけではありません。「爆発したかったのはこっちよ…」と呟く姿からも、相当我慢していたのは間違いありませんが、決して感情的になることなく淡々と日々仕事をこなしていたそのプロ意識は見上げたものです。
セクハラ雇い主のことも陰口を叩く同僚のことも冷静に受け止め、辞めるきっかけが訪れるとすぐさま辞意を告げて屋敷を去ります。ルシルが去り際に屋敷に告げる「さようなら!」の「!」の部分に彼女の清々しさが現れています。

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その後も「家政婦の仕事が見つからなかったらウエイトレスもアリかも」とか、「余計なことをしないように」と冷たく言われても「干渉してくるなってことね……」「それはそれですごく楽なのでは」など、状況を受け入れるのがとにかく早い!!

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新しい雇い主となった気難しそうな魔法使いのことも、野生動物くらいに思って接する切り替えの早さ!
無表情や何を考えているか分からない人のことを指す「チベスナ顔」というワードがネットで度々バズりますが、フィリスを野生のチベットスナギツネとして脳内変換している様子には思わず笑ってしまいます(笑)。

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ルシルはフィリスのことを「いつも落ち着いてて動じることはなくて見習いたい」と思っていますが、ルシル、あなたも大概やで……!
もはやそんな彼女には大物感すら感じますが(笑)、仕事ができることに加え、この良い意味での割り切りのよさが彼女自身を良い運命へと導いてくれている気がします。
彼女をコートデューへ向かわせ、彼女が快適と思う仕事にありついたのは、ルシルが自ら考え、行動する女性だったから。彼女の前職以前の過去については1巻ではまださほど触れられていませんが、どうやら前職のセクハラ男の手が迫っている様子。一日でも早く自分の居場所で、安心して暮らせる日々を手に入れて欲しいです。
ポイント2. 嫌いだけれど必要悪!? 前ブラック職場の面々
さて、物語にスパイスはつきもの。今作ではルシルの生活を脅かす存在=“悪役”がそのスパイスとなるでしょう。
まずはルシルの前職の雇用主、ニゼア夫妻。旦那は妻を差し置いてルシルにゾッコンでセクハラを繰り返し、妻は逆恨みでルシルに矛先を向けるありさま。そのせいでルシルはクビになりました。

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ルシルにとっては嫌悪の対象ですが、ニゼアはどうやら本気の様子。ルシルを探して連れ戻すよう執事に命じます。
その執事・レイヴンは、なにやらルシルとは親しげ。一見、彼女の味方のように見えます。……が、なかなか食えない奴といった印象。彼は果たして敵か味方か!? 気になるところです。

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そして、ルシルの元同僚たち。
仕事を押し付け合うという最悪の環境に加え、陰でルシルの悪口を言っていたことを、本人に知られているとは思いもよらないでしょう。

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そんな前職の屋敷の悪い面々がいたからこそ、物語は動き出しました。
そして今、再びルシルの物語を動かそうとしているのも、悪ーいニゼアの存在があってこそ。スパイスの役目と思いながらもこぶしを握りつつ「因果応報、自業自得」の四字熟語を唱えながら、もう少しだけ見守らせていただきます!
ポイント3. 一体何歳!? 寡黙で不器用な渋オジ魔法使い・フィリス
さて、最後にとっておきのおすすめポイントをとっておきました! ルシルが仕える「先生」ことフィリスについてです。
彼は白髪でスラリとしたなんとも渋ーい魔法使い。ズバリ、イケてます!
日々研究室にこもって過ごしていますがルシルどころか誰ひとり2階は立ち入り禁止のようで、一体何の研究をしているのかも謎のヴェールに包まれたまま。魔法使いは人間よりもはるかに長く生きるらしく、年齢不詳なのもミステリアス。
ルシルからは度々「チベットスナギツネ」に例えられているフィリスですが、その鋭い眼差しはたしかにチベットスナギツネそのもの(笑)。

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チベットスナギツネは単独行動を好み、非常に警戒心が強い性格。フィリスのキャラクターそのもののようにも見えます。とはいえ、街の人たちからは「先生」と慕われている様子。動物たちにも懐かれ彼らを「仲間」と呼ぶような人に、悪い人なんていません!
また、ルシルとの交流を通して見えるフィリスは、裸足で家を歩き回り、規則正しくお茶好き。食事の前後には必ず手を合わせる。頷きやメモで最小限のコミュニケーションは図ってくれる。これはひょっとして、気難しいのではなく不器用なだけなのでは……?
他にもお茶が出てくるのを座って待っていたり、黙々と食べる姿だったり、うん、か、可愛い……♡
普段何を考えているのかがわからないからこそ、動物的な可愛さを感じるのかも!? “可愛いオジサマ”が好きな読者には刺さるでしょう♪

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そんな無表情なフィリスの微笑みは、反則級!! 微笑まれた日には、もうあっけなく陥落です♡
この笑顔を見られるなら、普段の塩対応もなんのその……!!

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今はそっけない態度を取っていますが、内心ではルシルを気に入っている様子が垣間見えます。
ルシルに懐いてくれる日が来るのが楽しみです♪
ボイスコミックもチェック!
現在、【コミックDAYSチャンネル】にて、『永年雇用は可能でしょうか』のPVが配信されています♪
1巻のその先がうかがえるような内容に、ワクワクが止まりません!
諏訪部順一さんがフィリスとしてナレーションを担当。ハマりすぎ&イケボすぎて「先生~!」と叫びながら横転するかもしれないので、ぜひ安全を確保した場所でご覧ください♪ その後コミックでは先生の声が脳内再生されること必至です!
最新巻もチェック!

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『永年雇用は可能でしょうか』は現在5巻までが絶賛発売中♪
ゆっくりと心を解かしていくふたりの交流と、穏やかな癒やしの日々を、ぜひチェックしてくださいね♡
まとめ
いかがでしたか?
本作では度々食事のシーンに焦点が当たります。ということは、この作品にとって料理はそれなりに重要な注目ポイントなのかも知れません。
大きな屋敷では料理をする必要のなかったルシルですが、料理長にレシピを習っているなど料理スキルもなかなかの様子。今はフィリスとは別々に食卓につく様子が描かれていますが、いずれは一緒に食卓を囲む日が来るかもしれませんね♡

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フィリスの魔法の力もまだ1巻では明らかにはなっていませんし、動き出したばかりのふたりの同居生活、読者の楽しみもまさにこれから始まる予感。色々なことが明らかになってゆくこれからの物語にぜひ注目してください♡
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