悪役令嬢に転生してしまったから、死亡フラグを回避して幸せを掴む──。
近年流行りの「悪役令嬢もの」の王道展開。
漫画好きのQunn読者の皆さんなら、そういうお話をたくさん読んでいることと思います!
今回ご紹介する『乙女ゲーの世界に転生したら、デレ属性の豪傑系悪役令嬢でした』(漫画:とこり、原作:8D)も、まさに悪役令嬢もの。
ですが、ヒロインの様子がかなりおかしいんです(笑)。
この一風変わった悪役令嬢作品の魅力をご紹介します。
あらすじ
格闘ゲームオタクだった黒恵(くろえ)は、不慮の事故で転生。
乙女ゲームと格闘ゲームの要素を持つ「ヴィーナスファンタジア」の世界で、悪役令嬢の1人であるクロエ・ビッテンフェルトになってしまいました。
武闘家一家に生まれたうえに特訓を重ね、「豪傑系令嬢」というキャラ付けまでされているクロエは、戦争イベントが発生したら死亡してしまうキャラクター。
それを避けるためには、軟弱な婚約者のアルディリアをゲームの正ヒロインではなく自分に振り向かせるしかない!
果たして、騎士団の副団長にも圧勝する強さを誇る豪傑系令嬢は、婚約者と関係を深め、運命を変えることができるのでしょうか……!?
キャラクター
クロエ・ビッテンフェルト:乙女ゲームの登場人物にもかかわらず、「豪傑系令嬢」というキャラ付けをされた少女。乙女ゲームの正ヒロインと自分の婚約者が恋愛ルートに入らないよう奮闘する。
アルディリア:クロエの婚約者で、リスが好きなカワイイ系男子。弱音を吐いてしまうこともあるが、何事にも前向きに取り組み、クロエが暴走したときには嗜めることもできる強い心を持つ。
見どころポイント
『乙女ゲーの世界に転生したら、デレ属性の豪傑系悪役令嬢でした』の見どころ……それはキャラクターです!
ここではヒロイン、婚約者、ライバルの3つのポイントに絞って、独創的な魅力をお伝えします。
鍛え抜かれた上腕二頭筋! “豪傑系”という新しいタイプの悪役令嬢
第1話を読んだとき、思わず「新しい!」と声を上げてしまいました。
我らがヒロイン・クロエと、その死亡シナリオが本当に目新しかったのです。
筆者は大の悪役令嬢作品好き。多くの悪役令嬢ものを読んできましたが「乙女ゲームにして格闘ゲームの悪役令嬢」に転生したヒロインには初めて出会いました。
クロエは格闘ゲームのキャラクターでもあるので、強さがハンパない!
女性らしいノースリーブのドレスに身を包んだクロエを見て、婚約者のアルディリアは頬を染めながら「より一層……たくましく……なられましたね」とその鍛え抜かれた上腕二頭筋を褒め、アルディリアの父親は「うちの息子より随分筋肉もついている」と言い……。恵まれた体格をしていることが彼らの言葉から伝わってきます。
さらに騎士団副団長でもあるアルディリアの父との手合わせではクロエが快勝し、アルディリアが上階から落ちてしまったときはお姫様抱っこで助けるというカッコよさ。
まさに豪傑系令嬢なのです。
“豪傑”を物語る極め付けは、その最期。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったクロエには、死亡シナリオが用意されています。
アルディリアとゲームの正ヒロイン・カナリオが恋愛フラグを成立させてしまうと、戦争ルートに突入。クロエは戦場で目覚ましい戦果を上げつつ、アルディリアとカナリオを逃すために単身で敵陣に。彼らが応援を連れて戻ったときには、クロエは敵の死体の中心で立ったまま息絶えていたのです。
こんな「弁慶の立ち往生」を地でいく悪役令嬢、見たことがありません(笑)。
他に類を見ない豪傑っぷりをぜひ目に焼き付けてください。
なぜか王子からキスされた!? カワイイ系ヒーロー・アルディリア
本作のヒロイン・クロエも一風変わっていますが、ヒーローであるアルディリアも新鮮なキャラクターです。
なにせかわいい!
クロエやカナリオよりも背が低く、大好きなリスを見てはニコニコしているキュートな少年・アルディリア。
クロエの強さに不貞腐れたり嫉妬したりということもなく、彼女が自分の父親と戦って勝ったときも、好感度が下がるどころか顔をキラキラさせながら「本当に強いんですね」「僕にも闘技を教えてください!」と褒めるまっすぐな性格の持ち主です。
また、第一王子リオンから女性に間違われ、「素敵なレディーにあいさつを」と手に挨拶のキスをされるほど顔もキュート。クロエも「アルディリアは世界で一番かわいいし 将来絶対にイケメンに成長する」と太鼓判を押しています。
そんなアルディリアですが、芯が強い一面も。
カナリオとアルディリアが出会ってしまったシーンで、クロエはふたりが恋愛ルートに突入してしまうのではという焦りからカナリオにひどい言葉をぶつけてしまいます。
それを聞いたアルディリアは「クロエ 失礼です」と冷静にたしなめ、彼女に謝罪を促します。
時に突っ走ってしまう豪傑系令嬢にぴったりの、芯が強くてカワイイ系ヒーロー。
本当にお似合いのカップルだなあ! とニコニコしながら読みました。
ツンデレもヤンデレも……クロエ以外の悪役令嬢も個性豊か!
本作にはクロエ以外にも悪役令嬢が存在します。
1人は第一王子リオンの婚約者であるアードラー・フェルディウス。
カナリオが平民であることを理由にいじめ、リオンにも強気な態度をとる典型的な悪役令嬢です。
しかし、誰もいないところでくよくよ後悔し、リオンに愛されたいと願うツンデレ令嬢でもあります。
もう1人は、料理が得意な令嬢マリノー・フカールエル。
クロエが前世で推していたグラン先生を強烈に愛するキャラクターです。
グラン先生のためなら犯罪も辞さず、クロエを恋のライバルだと誤解した際には躊躇いなく包丁で切りつけるほど。ヤバ目のヤンデレ令嬢なのです。
そんな彼女たちは、クロエというイレギュラーな転生者に影響されてか、本来のシナリオと異なる動きをしていくことに。
特にアードラーとクロエは、ただの友情を超えた仲になっていきます。
クロエ、アードラー、マリノーという破滅ルートを持つ悪役令嬢たちが、どのような結末を迎えるのか。ぜひ本作を読んでチェックしてみてください。
まとめ
型破りなキャラクターたちが織りなすラブコメディである本作。
独創的な展開が多く、「どんなラストになるのか全然わからない……!」と新鮮な気持ちで読み進めることができます。
単行本は全2巻で完結しています。サクッと読みやすい巻数なので、一風変わった悪役令嬢ものが読みたいときにぜひ手に取ってみてくださいね♪
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