勧善懲悪、好きですか?
やはりいい人にはしあわせになって欲しいし、悪者にはバチが当たってほしい……そう思うのが人の常。
だって、人間だもの。
今回ご紹介するのは小説投稿サイト『小説家になろう』で上下左右先生が書かれた『王宮を追放された聖女ですが、実は本物の悪女は妹だと気づいてももう遅い 私は価値を認めてくれる公爵と幸せになります』のコミカライズ作品。
漫画は二戸謙介先生が担当されています。
外見や噂、妬みや嫉妬から正当に評価されずに疎まれて生きてきた聖女と公爵が、悪い輩のおかげで出会い、真実の愛を手に入れる癒やし系ファンタジー。
さあ、さっそくご紹介していきましょう!
あらすじ
高度な回復魔法を扱う聖女クラリスは、王宮に住むハラルド王子からある日突然婚約破棄を言い渡されます。
理由が思い当たらず戸惑うクラリスでしたが、「お前のような悪名高き女とは一緒に暮らせない!二度と俺の前に姿を見せるな!」と、着の身着のまま宮廷から追放されてしまったのでした。
実はハラルド王子は「男なら誰にでも媚びて誘惑する」という根も葉もない噂を真に受けクラリスを追放する代わりに、なんとクラリスの妹・リーシャを新しい婚約者に迎えたのです!
クラリスはハラルド王子の弟にあたるアルト公爵と婚約することになりました。
実はアルト公爵はあまりの醜さに周囲から疎まれ、王家からその身を追われたといわれる人物。
そして度重なる冷遇に性格もすっかり歪んでしまったと聞いたクラリスは「昔は優しかったのなら、きっと心根は善き人です」と、意を決し彼の屋敷に足を踏み入れます。
まもなくアルトが現れ、その恐ろしい顔に思わず悲鳴をあげそうになるクラリス。
これまでの女性たちと同様に彼女も自分の顔を恐れてすぐに逃げ出すだろうと思っていたアルトは「さっさと出ていってくれ」と告げますが、クラリスは「あなたを知らずに恐れ逃げ出すなどそのような無礼なこと私にはできません!」と言い、「逃げない」という約束をアルトと交わします。
かくしてふたりの婚約生活が始まりました。
アルトはクラリスと時間を共にするうちに本来の心を取り戻し、領内の人々の人望も集めていきます。
その一方で、ハラルド王子は本物の悪女がクラリスではなく妹のリーシャの方だと知り、婚約破棄したことを後悔し、再びクラリスをわがものにしようと目論みます──!
ふたりが安泰にしあわせを噛みしめるときは、訪れるのでしょうか……!?
見どころポイント
それでは本作の見どころポイントを見て行きましょう!
ポイント1. 美女と野獣!? 似た者同士!? アルトとクラリス
まずひとつめのポイントは主人公のふたり。
聖女と醜い公爵という組み合わせ、そしてヒーローの醜い外見の内側に潜む美しい心を見抜くヒロイン──という構図はまさに『美女と野獣』。
そんなふたりには、同じ傷を共有する似た者同士という一面がありました。
呪いによる醜い外見だけで幼少期から親族はもとより人々に虐げられてきたアルト。
クラリスもまた、彼女の魔力の高さに嫉妬した実父により家では使用人以下の生活を送り、大好きだったハラルド王子にも根も葉もない噂で見捨てられ……ふたりとも外見や人の噂で“悪”と断定され、その心根や資質を理解し敬ってくれる大切な存在がいなかったのです。
そのため、それぞれにとって本当の自分を認めて愛してくれる相手との出会いはまさに運命♡
お互いにどんどん惹かれていって、ついにはアルトの呪いまで――!?
ふたりの素敵なシーンは、ぜひ漫画でご確認ください♡
アルトは領主としてはとてもデキる男のようですし、クラリスも歴代最高クラスの回復魔法を扱う聖女。
有能なところもそれを鼻にかけないところも似ています!
さらにどちらもおっとりしていて、領民たちの生活を優先させたい気持ちも一緒、領民たちに人気が出てきて照れる素振りを見せるのもそっくり♪
まさに、出会うべくして出会った、お似合いカップルです♡
ポイント2. 物語を彩る“名”悪役たち
物語を盛り上げてくれるのはなんといっても悪役の存在! 本作では主にふたりの魅力的な悪役が物語にスパイスを与えてくれています。
これがなんだか憎めない!! さっそくご紹介しましょう!
- クラリスの妹・リーシャ
まず1人目は、ハラルド王子の新しい婚約者であるクラリスの妹・リーシャ。
クラリスに代わって王妃の座に座ろうと、したたかに画策を巡らせたんだろうな……ハラルド王子の前では淑女を演じて裏で色々汚い手を使って来るんだろうな……と思っていましたが、侮っていましたぁっ!!
そう、リーシャはただ、自由奔放なだけ。たとえそれが王子相手だったとしても!!
ハラルド王子の婚約者となってすぐに、リーシャは何人もの男とHしている姿を王子本人に目撃されます。
王子にどういうことかと問い詰められると彼女は「結婚するまでキスしかしないって言うから寂しくて、他の男性に協力してもらわないといけなかったから、全部ハラルド王子のせい♡」と悪びれる様子もなくテヘペロ!
なんというメンタル……!! 敵としてアッパレ、むしろ清々しい!!
このまま誰にも縛られず、わが道を思うまま突っ走って欲しいところです♪
- クラリスの元婚約者・ハラルド王子
そして2人目、これはもちろんクラリスの元婚約者である性悪王子・ハラルドです!
噂の真偽も確かめずに鵜呑みにしてクラリスを追い出したことも、妹リーシャを婚約者として招き入れたことも、浮気されその醜聞が世間を賑わしていることも、もう後の祭り。
タイトル通り「実は本物の悪女は妹だと気づいてももう遅い」んですよ!
しかしハラルド王子はここでめげません!
俺様キャラ全開でクラリスと復縁宣言をし、弟のアルトを人前で侮辱し、アルトとクラリスを困らせてやろうとあの手この手でちょっかいを出します。
しかし、何かコトを起こすたびにそれが裏目に出て鼻を明かされる始末……。
不思議なことにハラルド王子の愚かさが露呈していくたびに、「はいはい、よしよし(笑)」と妙なかわいがり精神が生まれるという怪奇現象が起きます!
感情豊かで愚かで人間臭いのがハラルド王子の魅力。ハラルド王子が怒ったり悔しがったり焦ったりする姿に「かわいい!」と思う読者もいると思うので、今後もどんどん愚策で倍返しに遭って欲しいところです♡
ポイント3. “醜い”表現
原作アリの作品をコミカライズするときの醍醐味はなんといっても絵のビジュアル化。
上下左右先生の原作に書かれている「化け物としか表現できない顔の男」「一言で表現するなら歪んだ顔」といった文章がどういったビジュアルに落とし込まれるかは今作において特に重要なポイントであったように感じます。
そして生まれた二戸謙介先生による“醜い”顔……。
これは斬新です! 「“醜い”アルト公爵」と対峙する人によって醜さが変化するかのような絶妙な表現に思えます。
わたしたちも、先入観で人を見てその人の本質に迫れないことがあったり、逆に、内面を知って好きだと思った人の姿形を気にしなくなったりすることがありますよね。
怖い人と思えば怖くも見えるし、優しい人と思えば優しくも見える、そんな現実世界の「あるある」や、人が誰かに抱く印象の流動的で不安定なところが繊細に盛り込まれているように思えて素晴らしいのです!!
その他にも二戸謙介先生による細やかな演出や、バックストーリーが広がるような各話の扉絵も要チェックです!
原作ノベルもチェック!
実はこちらの作品、スターツ出版から原作ノベルが全1巻で発売されています♪
イラストは姐川先生が担当されていて、漫画とはまた違った魅力を味わうことができますよ◎
気になる方は、ぜひチェックしてみてください!
まとめ
いかがでしたか?
アルトとクラリスへの嫌がらせはまだまだ続きそう……ハラルド王子を筆頭にふたりを虐げた人たちには、ぜひともやったことを悔いてほしいところです!
コミカライズ版『王宮を追放された聖女ですが、実は本物の悪女は妹だと気づいてももう遅い 私は価値を認めてくれる公爵と幸せになります』は、全2巻が発売中。
完結しているので、最後まで一気に読めちゃいます◎
ふたりの物語の結末を、ぜひお手にとって見守ってください♪
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