両片想いだったふたりが、ひょんなことから急接近して一気に距離を縮めていくTL漫画『犬飼さんは隠れ溺愛上司 ※今夜だけは「好き」を我慢できません!』は、“綺麗かつかわいい作画” と “続きが気になるストーリー” で多くの読者を夢中にさせています♡
そんな本作の待望の2巻が、本日2024年3月15日(金)に発売されました!
そこで今回は新刊の発売を記念して、作者・いとすぎ常先生&担当編集・Yさんにインタビューを敢行♪
本作の制作裏話などをたくさん語っていただきましたので、ぜひチェックしてみてください★
あらすじ
WEB編集部で働く愛多地渚(あだち なぎさ)には、インフルエンサーとして活躍する妹がいます。
そのため、妹と比較されがちなうえに、実力が評価されないこともしばしば……。
だけど上司で編集長でもある犬飼祈(いぬかい いのり)は、最初から渚自身を見てくれていました。
渚が犬飼に密かに恋心を寄せるようになってからしばらく経ったある日のこと。
会社の飲み会に参加した渚は、そこで恋が叶う「魔法チャーム」という胡散臭いおもちゃを貰います。
そしてその後、自宅が同じ方向だった犬飼とタクシーに乗っていた際、誤って魔法チャームのボタンを押してしまったのでした。
するといきなり「あなたは目の前の人を好きになっちゃう~♪」と歌が大音量で流れ出す事態に!?
しかも犬飼から突然「好きだ」と告白されて──!
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インタビュー
実はふたりの○○○をすでに決めています!
──TL漫画を執筆することになった経緯を教えてください。
いとすぎ常先生(以下、いとすぎ) 男性向けのエッチな漫画やBL漫画を読んだり描いたりしたことがあるんですけど、それらを読むのは好きなのに、描き続けていくのは辛くて大変だと感じてしまいまして……。ちょうどそのころ、男女のエッチシーンありの同人誌を出したとき、すごく熱量を込めて描くことができたし、ご購入いただいた方から「好きです!」と熱烈な感想をいただけたという経験があったんです。それで「イケメンとかわいい女の子のエッチな漫画だったら楽しく描けるのでは?」と思ったのが始まりでした。
──そこからぶんか社さんで連載をすることになったきっかけは?
いとすぎ 実は当初はオリジナル同人で女性にもウケそうなイケメンと美少女が出てくるエッチな漫画を描こうと思っていたんです。でもちょうどそのとき、担当編集のYさんが私の同人誌を読んで、「ぶんか社で描きませんか?」とメールをくださって。それがきっかけでしたね。このタイミングでお話をいただいたのは何かのご縁なのではと感じました。
──そして読み切り漫画『キミとだから、ぜんぶシたい。 愛でたがり彼の甘い欲求』を経て、『犬飼さんは隠れ溺愛上司 ※今夜だけは「好き」を我慢できません!』の連載が始まったのですね! 本作の世界観や設定はどのように作られていきましたか?
いとすぎ 私が物心ついてからは女性向けの漫画に多く触れてこなくて、最初にYさんからオフィスラブが王道だと教えていただいたんです。あとは、男性向けで人気のあるエッチな漫画にいわゆる催眠モノがたくさんあったんですけど、そのとき女性向けの催眠モノを調べたらあまり出てこなかったから描こう!と決めました。ただ、編集部さんに案を提出したら「催眠は怖い!」って言われちゃって……。
担当編集・Y(以下、Y) 連載会議で「言葉の響きがちょっと怖いかも」と意見があがったんですよ。
いとすぎ それを聞いたときは確かにその通りだと思いましたね。やはりキュンキュンするようなお話にしたいですし! それで打ち合わせのときに、「催眠」ではなくて「おまじない」とか「魔法」とかにすれば怖くないのでは?となりまして(笑)。その流れで魔法チャームが生まれました。
いとすぎ それと最初は、好きな相手が催眠効果にかかって自分のことを好きになったと思い込んでいるヒロインと、かかったフリをし続けるヒーローという感じで描こうと思っていたんですよ。
Y 実は犬飼さん側の気持ちは謎のまま進む予定だったんです。
いとすぎ でもヒーローからヒロインが好きという気持ちが出ているほうが鉄板といいますか。そっちのほうが読者さんもきっと嬉しいはずとYさんからご提案いただいた記憶がありますね。
Y 本当に好きかどうか分からないままとなると、相手の気持ちを疑う感じになってしまうかもと思ったんです。だから早い段階で犬飼さんの気持ちが分かる流れにして。あのとき酔っ払っていたけど、本当に告白したつもりだったとしたほうが、読者さんに受け入れてもらえやすいんじゃないかとお話をしたような気がします。
──確かに両者の気持ちが分かっていたほうが、より物語の世界に没入できるかもしれません。では渚と犬飼についてもどのようにキャラクターを作っていったか教えてください。
いとすぎ まずは犬飼さんから作っていったんですけど、実は当時、連載案がふたつありまして。どちらもヒーローはジト目っぽいキャラクターが良いと思っていたんです。それで今回決まったオフィスラブモノの連載案では、私が犬や狼っぽい大きい男の子が好きなので、犬をモチーフにしながら見た目を作っていきました。
──ビジュアル面ですと犬歯が生えているのもポイントなのかなと!
いとすぎ そうですね! 私がものすごくオタクとして育ってきた人間でして、ケモ耳とか犬歯が好きなので描いちゃいました(笑)。
──おまけ漫画などで描かれる “いのりいぬ” も最高でした(笑)。犬をモチーフにしているから「犬飼」という苗字にされたと思うのですが、下の名前はどのように決められたのでしょう?
いとすぎ 現実にいそうな名前よりも俳優やキャラクターっぽい名前にしたいと考えた際に、普通の名字プラス中性的な一文字にしたほうがカッコいいと思ったんです。例えば田中圭さん、みたいな。それで「犬飼」に合いそうな一文字を探して「祈」になりました。
Y ただ最初は違う名前でしたよね?
いとすぎ そうなんです! 実は「ユウト」という別案もありまして。後々『Paradox Live』という作品の登場人物に犬飼憂人さんがいるというのを知ったときは、被らないで良かった〜!と思っちゃいました(笑)。
──犬飼の性格面についても伺えますか?
いとすぎ 性格は割とすぐに決まりましたね。犬飼さんって、年上でジト目で「お前」とか「〇〇しろ!」とか言ってきそうな怖い見た目をしているじゃないですか。でもそういうことを絶対に女の子に言わないというギャップを入れたくて。「〇〇だよ」とか「〇〇して」とか、甘辛ミックスみたいな口調にしたんです。
Y あとは最初にいただいたキャラ表に「育ちが良いから丁寧で柔らかい言葉を使う」と書いてあった気がします。
いとすぎ そうでしたね。育ちが良いという設定から、こういう性格にしよう!と決めていった感じだったかなと。
──続いて渚についてもお聞かせください。
いとすぎ 渚ちゃんは犬飼さんと対になるように、子犬っぽいイメージで見た目を考えていきました。それと第1話を描いたころは側頭部あたりの髪を結構ツンツンとさせていて。今、改めて見返すと「何でここまでツンツンさせたんだろう?」と思ってしまいます(苦笑)。とはいえそのころは私が少年向けや男性向け漫画を多く読んできたからこそ、少女漫画のノウハウを把握していなくて……。キャラクターはシルエットで分かったほうが良いと思ったから、ツンツンさせていたんです。あとで人気な少女漫画をたくさん読んだときに、シルエットで分かるようにしなくても良いと学びました。
Y ツンツンにしたことでそれゆえのかわいさみたいなものもありましたけどね。ただコミックスになったときに結構ストレートっぽく修正いただいたので、コミックスで見たらあまり分からないかもしれません。
いとすぎ だいぶ直しましたので、分冊版の第1話、第2話とかを見ると違いが分かりやすいかなと。女の子の髪型って一本一本細く描くことが多いと思うんですけど、当時は一筆で描いていました。
──渚の性格面やキャラクター名を考えた当時を振り返っていただけますか?
いとすぎ この作品の前に描いた『キミとだから、ぜんぶシたい。 愛でたがり彼の甘い欲求』に出てくるヒロインがいじめられた経験があって、自己肯定感がかなり低めな女の子だったので、渚ちゃんはもうちょっと自己肯定感がある感じにしたかったんです。経験不足ゆえに自信はないけど、自己肯定感は高いというイメージで描こうと最初に思いました。
Y 渚ちゃんは前向きなタイプですよね!
いとすぎ そうなんです! しかも渚ちゃんは、見た目はフワフワしているけど、意外と自分で決めるしブレない。そこが一番のポイントですかね。学生時代の友達もいるし、母からもちゃんと愛されていたので、傷ついたらもちろん悲しむけれど、卑屈を引きずりすぎない強さもあります。
いとすぎ あと名前に関しましては、彼女も犬飼さんと同じように苗字から決めています。妹のももかちゃんと比べられるという要素を物語に入れていて、珍しい苗字だからバレるというのをやりたかったから、珍しい苗字をいろいろと調べて「愛多地」にしました。それで個人的に「アダチ」という語感が、どちらかというと重いほうだと感じたから名前は軽めにしたくて。ひらがなか漢字一文字にしようと考えた末に「渚」にしたんです。
──他にも、渚と犬飼にまつわる裏話がありましたらぜひ。
いとすぎ 実はふたりの誕生日をすでに決めています。
──えっ!? すごく気になります!!
いとすぎ 犬飼さんが2月7日で、渚ちゃんが7月12日です。キャラクターのイメージから直感で決めました!
Y 私も知りませんでした……!
いとすぎ 結構前に決めていたんですけど、コミックスの作業中だったのでSNSで呟くこともできなくて。何もしないまま今日まで来てしまったんです(笑)。あとはふたりのMBTIも決めていて、渚ちゃんがINFJ(提唱者)、犬飼さんがISTJ(管理者)ですね。
Y それはどうやって決めたんですか?
いとすぎ 自分で本人になったつもりで診断を受けて決めました。他の版権の推しキャラクターでも結構やるんです(笑)。
──応用されていらっしゃるんですね(笑)。
いとすぎ そうですね(笑)。あとはキャラクターの関係性をいろいろと作ったほうが良いかなと思った時期がありまして。犬飼さんがももかちゃんとオンラインゲームで相手の本名を知らないまま偶然フレンドになって、ときどき遊んでいるという設定が存在したりもします。犬飼さんは暇つぶしでやっていて、ももかちゃんは割とガチでやっているんですよ。おそらく今後、作中では描かないんですけどね(笑)。
犬飼さんの表情に注目してほしいシーンが盛りだくさん♪
──1巻に収録された第1話〜第6話で、特に読者に注目してほしいシーンをいくつかピックアップいただけますか?
いとすぎ 当時全力で描いてはいたんですけど「TL漫画はこうだ!」というのを掴み始めたのは第3話くらいからといいますか。第1話、第2話はよく分からないまま走り出して、ただただ頑張るみたいな状況だったんです(笑)。それで私は第3話で、資料室に入ろうとしたモブの社員に犬飼さんが声を掛けるシーンが特に印象に残っていて。
いとすぎ 実はネームのときだと普通に資料室から出てきて取り繕っただけだったんですよ。でもYさんから「色気のある感じで出してください!」とアドバイスをいただいて。なるほど!と勉強になりましたし、後から見返してみてもそのほうが絶対に良かったと思いました。二人三脚で作れたところだったんじゃないでしょうか? それと第5話の素股をするシーンも思い出深いです。
Y パンツ越しにするシーンですよね?
いとすぎ そうです! これを思いついたときはかなりテンションが上がりました(笑)。
──どういう経緯で思いついたのでしょう?
いとすぎ 確か、TL漫画の縛りの中で男性器の実線を描けないかな?と考えていたときに「パンツだ!」と(笑)。パンツとトーンを駆使したらいけるんじゃないかなと思って挑戦した覚えがあります。あのシーンの作画はめちゃめちゃ時間がかかりましたね。多分半日以上かかったんじゃないでしょうか?
Y やはりTL漫画だと性器を修正しなければいけないんです。でもあのシーンはそれをいかにせずに、読者さんに想像していただくか……みたいなものをすごく分かりやすく描いていただいたのかなと。
いとすぎ 読者さんからも褒めていただいたシーンなので頑張って良かったなと思っています!
Y あと私は第1話で犬飼さんが初めて見せた表情も好きです。ここまでずっとクールでカッコよかった犬飼さんがいつもと違う表情を見せていて、すごくキュンとしました!
いとすぎ そこは私の癖がやや出たところかもしれません。やっぱり犬飼さんが嫉妬するのって良いですよね!
──第3話の嫉妬シーンも、普段とのギャップがすごいし、かわいかったです!
いとすぎ ありがとうございます! 嬉しいです!! そのシーンはYさんからも褒めていただいたんですよ。
Y ネームの段階からすごくかわいくて! ギャップがあるうえに犬感もあって素敵だなと思いました。
いとすぎ Yさんが「良いですね!」と言ってくださったところは、毎回ほとんど読者さんにも刺さっている気がします。なのでYさんの意見をだいぶ参考にさせていただいています。
エッチシーンは愛し合っているのがしっかりと分かる構図に
──2巻の表紙イラストで特にこだわったところは?
いとすぎ 渚ちゃんのお洋服ですかね。個人的にオーロラっぽくしたかったんですよ。一時期アイドル衣装で流行っていましたし! やはり漫画を連載しているとカラーイラストにこだわれる時間が少ないんです。だからこそ新しいカラーイラストを描くたびに、新しい挑戦をしたくて。今回はそれが渚ちゃんのお洋服でした。あと他には渚ちゃんが持っているケーキだけを厚塗りにしています。
──2巻に収録されている第7話以降でも印象深いシーンを教えてください。
いとすぎ 何でもない小さなコマなんですけど、渚ちゃんのほっぺがモチモチしているシーンがいくつかありまして。それらは描いたときに「モチモチできた〜♪」と喜びました(笑)。
Y 作中の季節が冬なのでマフラーをしているんですよ。そのおかげで髪の毛がぽわんとなって、すごくかわいく見えますよね。
いとすぎ 私は基本的に男の子よりも女の子を描くほうが好きなんですけど、このときの渚ちゃんは自分的にかわいく描けたコマだなと思いました。ぜひコミックスで見つけてみてください!
──他にも全体を通して2巻の見どころを語っていただけますか?
いとすぎ 1巻の最後に渚ちゃんと犬飼さんが両想いになったので、2巻ではずっとイチャイチャしています。エッチシーンの作画も毎話楽しく描いたので、ふたりがイチャイチャしているのを見るのが好きな読者さんは絶対に楽しんでいただけるんじゃないかなと。
Y 時間を忘れるくらい何話もかけてずっとイチャイチャしているんですよ。両想いの先じゃないですけど、ふたりがさらに愛を深めるようなシーンが後半にありまして。そこはかなり見どころになっています!
いとすぎ それと2巻のラストでも盛り上がりシーンがありますので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです!
──ちなみにエッチシーンを描くうえで何か心掛けていることは?
いとすぎ いろいろとありますけど、やっぱり男性向けのエッチな漫画とは全然違うように描かないといけないというのがまずあります。男性向けの作品ですと女の子しか画面の中に映っていないんですよ。むしろ男の顔はいらないという感じなのが多いんです。でも、TL漫画では男の子の顔も描いたほうが絶対に読者さんも嬉しいだろうなと思っていて。だからこそただエッチをするのではなく、好きだとか愛し合っているのが分かるようなポーズや構図にしたり、たくさん身体をギュッと密着させたり、男の子の顔が大きく映っているようなコマを入れたりしていますね。
──何か参考にされている作品や資料はあるのでしょうか?
いとすぎ 前から男性向けのエッチな漫画の絵柄が好きで、そういうジャンルの漫画がたくさん読めるサブスクリプションに入っていまして。そこで見たいろいろな作家さんから影響を受けていると思います。男性向けのエッチな漫画を描く作家さんって、皆さん絵がとても精密で、芸術作品を見ているような感覚になるんですよ。なので自分もこんな絵を描いてみたいと憧れています。ただ絵柄や表現方法など、すべてで一番影響を受けているのは、子どものころから大好きな少女漫画家の種村有菜先生です。
──最後に、読者へメッセージをお願いします!
いとすぎ 『犬飼さんは隠れ溺愛上司 ※今夜だけは「好き」を我慢できません!』を見つけてくださってありがとうございます! 正直第1話を描いていたころは「皆さんに読んでいただけるかな?」とすごく不安でした。けれども話数を重ねていったり、ぶんか社さんからコミックスを出していただいたりしたなかで、読者さんから感想をいただく機会も増えてきまして。今、私が楽しく漫画を描けているのは、皆さんが支えてくださっているからなんです。なので本当に感謝の気持ちでいっぱいです。これからも本作を楽しんでいただけると嬉しいです!
インタビュー当日の思い出(byライター)
今回はメインキャラクターや1巻の制作裏話を中心に伺っていきましたが、ここまで読んでくださった皆様、いかがでしたか?
いとすぎ常先生、担当編集のYさんおふたりとも優しいお人柄が一言一言にすごく滲み出ていて、インタビュー中はずっとほんわかしていた気がします。
けれども、特に誕生日の話題になったときには「えっ! それ、ファンにとっては嬉しい情報なのでは!?!?」と思わず大興奮!
(きっとうるさかったと思います……。すみませんでした……。)
それと本記事ではカットしましたが、“私の癖に刺さったところ”をいくつか語らせていただいたときにも、笑顔で応対してくださってすごく嬉しかったです!
素敵な時間をありがとうございました♪
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