昔々あるところに、とても美しくて優しい少女がいました。しかし少女の母が病気で亡くなり、彼女の家には新たにいじわるな継母とふたりの姉がやって来たのです──。
誰もが一度は読み聞きしたことがあるはずの『シンデレラ』。
今回ご紹介する漫画『いびってこない義母と義姉』は、おつじ先生が描く優しみたっぷりの“最速”シンデレラ・ストーリー!
悲劇のヒロイン……のはずが、いびられることなく初っ端から幸せに包まれまくるハートウォーミングな本作の魅力を、まずはストーリーから順にご紹介します!
あらすじ
名家の庶子である中村美冶(なかむら みや)は、母の死をきっかけに本家である鴻蔵家(こうのくらけ)に引き取られることとなりました。
「お義母さまもお嬢様たちも私(妾の子)が憎いはず」とどんな仕打ちでも受け入れる覚悟で顔合わせを待つ美冶。
そしてまず現れたのは、鴻蔵家のふたりの娘たちでした。
開口一番「あらぁ~? なんだか臭いわよ~」ときつい言葉を浴びせる長女まりかと、その横で嘲笑する次女ありさ。
間髪入れず「来なさい」と強引に手を引かれた美冶は、思わず小さな悲鳴を漏らします。
そして連れて行かれたのは……風呂!?
気づけば美冶はふたりがかりで手厚く風呂に入れられていたのでした。
……え?
あれよあれよと丁寧に洗われたかと思うと、お嬢様ふたりはどちらが選んだ服を着せるかで口喧嘩。
……えぇ??
そしてそこに現れたのが本家の奥方・てる。
狼狽える娘たちを見た美冶は、よほど怖い方に違いないと怯えます。
「さてお前さんの寝るところだが…ちょうど蔵にスペースが空いていてね──」
蔵でも雨風がしのげるだけありがたいと思う美冶でしたが、てるは続けてドジャーンと言い放つのでした……!
「お父さんの積読をみんなで蔵に運びますよ そうすれば書斎をお前さんの部屋にできるッ!!」
ええ~~~~~~??????
唖然とする美冶。義母と義妹はいびってこないどころか、極暖ハートの持ち主!
美冶の新しい生活が幕を切って落とされました──!!
見どころポイント
それでは本作の見どころポイントを見て行きましょう!
ポイント1. これぞ真のお嬢様! 鴻蔵家の姉妹まりか&ありさ
まず一番最初に挙げたいポイントは、鴻蔵家のふたり娘・まりか&ありさです!
美冶の義理の姉にあたるふたり。
見た目と口調はどうみても“よくある”意地悪な義姉そのもの。
しかし言ってることやってることは優しさの塊です!!
「ツンデレ」と言いたいところですが、表でツンツンしていて裏でデレる「ツンデレ」とは違い、めっちゃ優しい言葉を思いっきりツンツンと言い放ちます!
なにこれぇ……(笑)!
主に口が悪いのは長女まりか。
悪人顔(!?)な上に誰と話すときも基本ツンツン口調なので一見誤解されそうですが、一度でも言葉を交わせばその溢れる優しさに誰もが必ず気づくはず!
多くの人が美冶のように一瞬脳がバグるでしょうが、そのギャップもまりか沼へのオードブル(前菜)にすぎません。
また、まりかには読書好きな一面も。
子どものような顔で読書に没頭する様子は、愛らしくてたまりませんよ♡
一方、次女のありさは姉の横でクスクスと嘲笑している(ように見える)側近タイプ。
言葉遣いはまりかより柔らかいのですが、こちらもいかんせん悪人顔(笑)。
まりかとは良い喧嘩相手で、何かと言い合いを繰り広げては母に注意されています。
生け花やお茶、踊りも得意なありさは、おそらく相当な努力家。
まりかを煽ることにすら、全力投球です!
「喧嘩するほど仲がいい」とはまさにこのふたりのためにあるような言葉で、美冶をかわいがるときはもちろん、捨て犬を保護したときも一緒にいて、息もピッタリな仲良し姉妹なんです。
まりかもありさも頭脳明晰でプライドが高く、鴻蔵家という名家の名に恥じぬお嬢様ですが、彼女たちの真のお嬢様であるポイントはそこではありません!
作中では、自分でできることは出来る限り自分でやっている姿が、しばしば描かれています。
庭のお手入れや蔵の掃除をしたり、保護した犬をお風呂に入れたり。
また、ふたりは誰かを下に見ることがありません。
まりかもありさも美冶のことを一度として「かわいそう」と言ったことがないのです。
それは誰かをかわいそうと言ってしまうことで自らが上位に立ってしまうことを避けるだけでなく、それまでのその人の人生を否定しないという彼女たちの美学。
彼女たちこそ、真の、そして最ッ高のお嬢様たちです!!
ポイント2. 鴻蔵家の頂点にして、至高の奥方・鴻蔵てる
2つ目のポイントは、まりか&ありさの母であり、美冶の継母となる鴻蔵てるです!
だいぶ気難しそうなイカツイ顔のご婦人ですが、“あの”最高の娘たちを育てただけあって、とにかく最高なんです!
「お母さま」と美冶が呼ぶと、「お前さんにそう呼ばれる筋合いはありません」と一蹴。
しかし間髪入れずに「お前のおかあさんは 女手一つでお前さんを育てたご母堂です」と続け、美冶に代案として「マミー」と呼ぶ提案まで……っ!!
ビッグマザー! もといビッグマミー! サイコーです!!!
妾の子で憎しみの対象でしかないハズの美冶を受け入れるだけでもかなり懐が深いと思いますが、美冶の部屋にするために書斎を片付けたり、美冶が寂しかろうと娘たちと一緒に夜通し枕投げや恋バナをしたりと、絶妙な距離感で歩み寄り、美冶の心を開きます。
顔の圧が強いのはもはや話す相手を楽しませるためなのかと思うほどのサービス精神。愛と思いやりの塊!
実はお裁縫もプロ級の腕の持ち主であり、使用人たちへの心遣いも怠りません。
まりかとありさが幼いころには「他者を自己と同じくらい尊重できるようになりなさい」と教育していました。
てるの姿を見ていると、自らが先んじて……と意図をせずとも、娘たちのみならず、使用人や周りの人たちのお手本になっているように思います。
その大きくて暖かい背中をだれもが憧れの眼差しで追いかけるハズ。
こんな名家なら、ずっと繁栄していて欲しい♡ 鴻蔵家よ、永遠なれ!!
ポイント3. 悲劇のヒロイン風、超ラッキーガール・美冶
3つ目のポイントはヒロインの美冶。
ちょっと引っ込み思案でシャイですが、素直で優しい少女です。
幼いころから働きづめで愛する母に先立たれ、「なんてかわいそうなシンデレラ(いや美冶)!」と同情を集めそうな悲劇のヒロイン的立ち位置だった彼女。
どこかしらその自覚もありそうな彼女ですが、鴻蔵家の手にかかればそうは問屋が卸しません(笑)!
虐げられて、よよと泣いて、それでも健気に頑張る私……否!
時代が求めているのは「若いときの苦労は買ってでもせよ」ではなく、「しなくて済む苦労はしなくていい」です! 孤独なヒロインが愛されまくってかわいがられまくって困惑する姿の、なんと愛しいことか!
どことなく捨てられた子犬みがある美冶ですが、そのせいか、護衛の犬グンちゃんともファースト・インプレッションで即通じ合った様子。
見よ、この「かわいい×かわいい」のインパクトを!!
……尊い♡
そりゃあ、まりかもありさもかわいい義妹にゾッコンになるハズです!
鴻蔵家の愛の洗礼を浴びた結果、美冶は虐げられ耐性ではなく「困惑ツッコミ」能力が開花。
「えっ」「ええええ~~~~????」「はぇぇ~?」「あ…あれぇ」「うわはぁあああ」と数多のバリエーションの困惑ツッコミを繰り広げています。
いや、どれだけ徳を積んだらこんな素晴らしい家族に迎え入れられることになるのでしょうか!?
確かに美冶は若いころから苦労をしてきましたが、前世、いや前々々世くらいから徳を積んできたに違いありません。
ご母堂もきっとお腹を抱えて笑っ……いや、見守っていることでしょう(笑)。
このまま溺愛されて「愛されキャラ」を爆発させていってほしいものです!!
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BGMや豪華声優陣の原作イメージぴったりな演技により臨場感が溢れ、本作の魅力が存分に伝わる動画となっています。
絶対に続きが読みたくなるハズ!! 続きはぜひ、コミックスでお楽しみください♡
まとめ
いかがでしたか?
今回は1巻の内容をご紹介しましたが、5月27日には待望の6巻が発売されました!
これから美冶はどんどん新しいものを見て聞いて経験して鴻蔵家の人々との家族の絆を深めていくハズ!
義母と義姉の溺愛はもちろん、これから登場する人々の優しさに触れる美冶がおそらくそうなるであるように、読者のみなさんもぜひ心をポカポカにしながら楽しみましょう♪