貧乏暮らしのなか、もし賄付きのアルバイト先が閉店してしまったら、ちょっとは危険と思っても死神のパートナーにくらい、なっちゃいますよね?
え、ならない!? ご飯や夢のためなら怪異(かいい)の一匹や二匹、葬浄(そうじょう)しちゃいますよね?
え、ムリ? いやいや、死神イケメンですよ? もれなくモフモフついてきますよ!?
「死神」「怪異葬浄」「モフモフ」ここまででピクッと食指が動いたあなたにオススメなのが潤宮るか先生の『葬浄のフレイメント』。
落ちこぼれ&死神見習いのコンビが、怪異を祓いながら成長してゆく姿を描いた妖(あやかし)系ファンタジー。
個性的な生き物もたくさん登場する本作のオススメポイントを、さっそくご紹介していきましょう!
いざ、妖の世界へ──!!
あらすじ
高校1年の橘小夜(たちばな さや)は幼くして両親を亡くし、叔母の援助を受けながら小さなアパートでひとり慎ましく暮らしていました。
ある日、小夜の生活費の柱であるアルバイト先の洋食屋のオーナーが、病気で店をたたむことに。
あまりに急な出来事に小夜はトボトボと夜の街を帰りますが、その道すがら、異形の化け物が女性を襲っている場面に出くわします。
とっさに身を挺して女性を逃がした小夜でしたが、今にも襲いかかろうとしてくる化け物を前に死を覚悟します。
その瞬間、鈴の音と共に現れたのは、狐……と思いきや、ひとりの男性!?
なんと彼は洋食屋で小夜が客に絡まれたときに助けてくれた男性でした。
「俺の手を握れ!」と言われ、彼の手を取るやいなや彼は姿を刀へと変え、なんと小夜はその刀の一太刀(ひとたち)で化け物を一掃したのです。
刀護(とうご)と名乗るその男性と安全な場所へ移動しようとした瞬間、ふたりは冥府の世界へと引き込まれます。
そこには八嶋(やしま)と名乗る刀護の上司が。
八嶋と刀護は自分たちを「死神」と名乗り、小夜を死神組織の本部「十王庁(じゅうおうちょう)」へと案内します。
そこで彼らは小夜に、この世には通常目に見えない「霊力」というエネルギーがあり、生物の魂は霊力で構成されていること、死ぬと肉体は土に還り、魂は分解されながら冥府へ行き、やがて現世の新しい肉体に宿るというサイクルが営まれているのだと説明します。
そして中には生前に強い未練があり、現世にとどまり怪異になる魂も。
さきほど小夜が退治した化け物こそがその怪異であり、それを浄化──「葬浄」するのが刀護や八嶋たち死神の役目だというのです。
小夜の魂の質量は普通の人より大きいため怪異を集めやすいとのことで、刀護は、自分が責任を持って小夜を守るから、パートナーとして一緒に戦ってくれないかと彼女に頼みます。
躊躇する小夜でしたが、八嶋にマンションの提供と良い時給を提案されると二つ返事で引き受けることに。
さあ、小夜の波乱に富んだ新生活が始まります!
見どころポイント
それでは本作の見どころポイントを見て行きましょう!
ポイント1. ヒロイン小夜の秘められた能力!
狭いアパートで貧乏暮らしをしている小夜。
冷蔵庫も空っぽ、プランターの野菜も全滅と食べる物にも困って大家さんからもらった飴数個で空腹をしのぐような彼女ですが、6歳で両親を亡くしアルバイトで生活費と学費を稼いで暮らしている、超・苦労人です!
彼女は常ににこやかで、友人にはもちろん、だれにでも敬語で話すようなきちんとしたいい子なのが、読者の涙を誘います……ええ子や~(泣)。
俄然、応援する気が湧きますね!
そんな小夜ですが数日前から不思議な生き物が見えるようになっていました。
実はこれが、彼女に秘められた能力の片りんでした。
そののち化け物(怪異)とのファーストコンタクトが到来し、突如現れた刀護が変身した刀を自然にふるって退治しますが、どうやらこの刀、扱うのにはかなりの才能が必要な様子……?
小夜の秘めた素質がうかがえます。
そして、小夜の能力はまだあります。それは……料理!!
小夜の夢はいつかキッチンカーでいろいろな場所を巡ること。そのために調理師専門学校に通うのが彼女の目標でした。
刀護の家で料理をふるまうシーンでは、刀護のみならず八嶋の胃袋も掴んだ様子!
刀護と怪異を葬浄していく中で、周りの人を危ない目に遭わせたくないからと修行を頑張ろうとする小夜。
料理人となってキッチンカーを持つ夢のために洋食屋さんでアルバイトをしていた彼女が、死神のパートナーというアルバイトへまさかまさかのジョブチェンジ。
どちらの能力も大きく開花しますように……!
ポイント2. 狐と刀に変身! 実は有能(!?)な刀護
小夜の働く洋食屋で、迷惑な客から小夜を救った刀護。
彼曰く自分は落ちこぼれの死神とのこと。
これまでも数々の危機で怪異を倒せず仲間が駆け付けるまでは持ちこたえるので精いっぱいだったと語っています。
ところが小夜と出会って共に怪異を倒すことができた刀護。
どうやら小夜といると彼は思わぬ力を発揮できる様子です。
刀護は小夜と手を取り合うと刀に姿を変えます。
「炎刀(えんとう)」と呼ばれるそれは、死神エリート一族である伏見家で代々受け継がれてきた妖狐の炎刀を彷彿とさせるようで、死神界隈をざわつかせている模様。
そして刀護にはもうひとつ言及すべき点が。それは彼が「半妖」だということ!
「半妖」とは、冥界と現世の間の「中庸(ちゅうよう)」という空間から生まれた生き物である「神妖」と人間との間に生まれた存在で、人間と動物どちらの姿にもなれる者たちです。
霊力も人間より高いので、十王庁には半妖の職員も多いのだとか。
実は刀護は狐の半妖!
「俺は狐にはなれない」と今は言っていますが、小夜の前では一瞬狐の姿を見せていますし、彼が半妖として目覚める日は近いはず──!?
半妖に炎刀、なんだかすごいポテンシャルを秘めていそうな刀護ですが、なぜ彼が「落ちこぼれ」認定されているのかが気になるところ。
能力全開の刀護を見るのが楽しみです!
ポイント3. 生き物好き必見! かわいい妖が続々登場!!
本作最大の推しポイントは、個性豊かな精霊や半妖、神妖といった数々の妖たち!
生き物好きには堪りません!
まずは小夜が刀護と出会う日の朝に見かけたカエルのような精霊(?)からはじまり、狐の半妖である刀護、そして竹筒に住まう狐のような姿の小さな精霊「しらす」と「とうふ」!
「管狐(かんこ)」と呼ばれる彼らは、小夜を怪異の攻撃から守ったり傷を癒やす有能な助手です。
「きゅっ」って鳴き声にも萌え萌えしちゃいますが、「しらす」と「とうふ」という名前もかわいい♡
名付け親は小夜ですが、センス良すぎ……!
そして小夜の元に転校生として現れる十王庁の先輩であり、死神エリート一族の一員・伏見朔(ふしみ さく)が引き連れている半妖が、大きな黒犬の黒曜(こくよう)。
朔の戦闘の補助だけでなく身の回りのお世話までしています。想像しただけで笑顔になってしまいますよね♡
十王庁には半妖の職員が多いらしく、「どんな動物の方たちがいるのかちょっと楽しみです」と思っている小夜に、シンパシーを感じずにはいられません!
現れる怪異も最初でこそ鬼のような形相でしたが、ハナカマキリのような怪異やフェニックスのような炎の鳥の怪異、神妖には妖狐の化身である「玉藻前(たまものまえ)」や、八つの頭と尾を持つ大蛇「ヤマタノオロチ」などの名前が挙げられていましたし、まさに生き物尽くし。
個人的には死神サイドのモフモフたちにときめいてしまいますが、今後もどんな生き物が登場するのかワクワクが止まりません♡
まとめ
いかがでしたか?
今はまだ恋愛未満の様子の小夜と刀護ですが、少しお互いを意識する瞬間もチラホラ……♡
転校生の伏見朔に漂うツンデレ感も、今はまだ「ツン」だけなものの、これからの物語に良いスパイスを与えてくれそうです。
『葬浄のフレイメント』の気になる続きは現在ぶんか社『PRIMO』で連載中!
これからのモフモフ、これからのドキドキ、これからのキュンキュンに乞うご期待です!
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